高解像度の4K・8K対応テレビが売れている。
BCN総研(東京都千代田区)のアナリスト、森英二氏によると、2017年12月時点での4K・8K対応テレビのシェアは、前年同月と比べて9.5ポイント増の39.7%で、40インチ以上の大きなサイズに限れば、11.8ポイント増の75%と着実にシェアを伸ばしているという。
メーカー「4K・8K」の生産アップ
4K・8K対応テレビの販売が堅調な理由について、BCN総研の森英二氏は2018年1月25日のJ-CAST会社ウォッチ編集部の取材に、
「ひとつには毎年のことなのですが、12月のボーナス期に重なって比較的家計に余裕が出ていることがあります。もう一つは、液晶テレビではなく、次世代の有機ELテレビを発売するメーカーが出始めたことで、従来の液晶テレビが『型落ち』となって液晶の4K・8K対応テレビの価格が低下。値ごろ感が出てきているところにあります」
と語る。
液晶テレビの平均価格は15万5000円(17年12月時点)で、有機ELテレビの平均価格は29万8000円で、2倍近い差があることがうかがえる。
また、森氏は「一般的に、小さめのサイズについては3月の新生活時期に、また40インチを超える、比較的大きなサイズのテレビの需要は夏冬のボーナス期に拡大する傾向にある」と説明。
2018年は、メーカーとしてもフルハイビジョンのテレビより価格の高い4K・8K 対応テレビを売っていきたい狙いがある。「現状、40インチ以上のテレビについては4K・8K対応テレビの生産が多くなっており、メーカーの意向も販売の堅調につながっているのではないでしょうか」と語った。
平昌五輪、W杯ロシア大会ではテレビ市場動かず
一方、まもなく始まる韓国・平昌冬季オリンピックや、サッカーFIFAワールドカップ・ロシア大会とスポーツ・イベントが目白押しの2018年だが、それらがテレビの売り上げに影響することはないのでろうか――。
前出の森英二氏は、平昌オリンピックなどの影響について、「スポーツ・イベントでテレビ市場が動くことは、若干こそあれ、それほど大きな要因ではありません」と話した。
ただ、「4K・8K対応テレビで放送を受信する際に必要なチューナーは別売りであることがほとんど」(森氏)なので、4K・8K対応テレビを買っただけでは視聴できない。 ツイッターなど、ネット上でも、
「えっ? 4Kってチューナーいるの? 最近の家電事情まったくわからん」
「は? 4Kテレビって『4K表示できます』ってだけで受信チューナー内蔵してないの!? 何それ!?」
と、現状はチューナーが内蔵されていないことが周知されていないようだ。
総務省では「4K・8K放送の推進」と題して、チューナーなどの購入やBS・CS用のアンテナの交換が必要となることを、注意喚起している。