「接客業を悩ます悪質クレーム」(後編)インタビュー「1人で背負わずチームで対応しよう」

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被害に遭う店員も、お客として他店に行くと悪質クレーマーに変身?

――ところで、被害に遭う従業員も、お客の立場で他店に行くと「悪質クレーマー」になる可能性もあるのでは。2017年12月に日本労働組合総連合会(連合)がまとめた「消費者行動実態調査」によると、接客業の人の6割がお客から迷惑行為を受けたと答える一方、お客として店に苦情を言ったことがある人が6割もいました。この割合は他の業種の人より高かったです。

「もしかして、私、言い過ぎたかも...」キャンペーン(UAゼンセン流通部門提供)
「もしかして、私、言い過ぎたかも...」キャンペーン(UAゼンセン流通部門提供)
森田さん「そういう傾向はあると思います。自分が接客のプロなので、逆に店側のアラが見えることもあるでしょう。商品やサービスを提供する側も、立場が変わると悪質クレーマーになる可能性があります。そこで私たちは、『サービスを提供する側と受ける側がともに尊重される社会の実現』を目標に掲げ、『もしかして、私、言い過ぎたかも』という携帯・眼鏡クリーナーを配る啓発活動も行っています(写真参照)。まずは、私たち自身が悪質クレーマーにならないことが大切で、すぐに怒らず、ひと呼吸おこう、お互いを思いやれる社会にしようと訴えています」

――それはとてもいい活動ですね。最後に接客サービスで働く人や会社側にこれだけは訴えたいことがありますか。

森田さん「現場の従業員には、決してひとりで背負い込まず、組織で対応しようと言いたい。弁護士を招いた勉強会では、『悪質な客にはイエローカードを切ろう。3~5枚たまったお客が店に来たら、チームで対応しよう』とアドバイスされました。会社側には、明らかにおかしいお客には毅然とした態度をとろうよ、と呼びかけたい。従業員任せの対応は企業側にとってもマイナスです。
   悪質クレームへの対応には販売機会のロスにつながるとともに、時間やコストもかかるからです。また、従業員がイヤになって辞めたら、それこそ人手不足に拍車をかけ、産業の魅力を損なうことになります。『顧客第一主義』偏重の風潮から一歩踏み出し、毅然とした対処ができるよう、従業員と一体になって取り組もうと呼びかけたいです」
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