「接客業を悩ます悪質クレーム」(後編)インタビュー「1人で背負わずチームで対応しよう」

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鉄道会社は従業員を「お客の暴力」から守るのに、なぜ小売業はできない?

――会社に「要求」するのではなく「協議」ですか? 鉄道各社では「暴力行為防止ポスター」を駅構内に貼り出して、乗務員をお客の暴力行為から守るキャンペーンをしています。こうした従業員を守る姿勢は百貨店やスーパーではできないのでしょうか。

森田さん「小売やサービスの業界では『お客様が第一』という顧客第一主義が浸透していますから、不当な要求でも、まずはお客様の声を聞く、耐えなくてはいけないという風潮があります。『悪質クレーム』という言葉もインパクトが強すぎるので、『迷惑行為』と呼ぶ場合すらあります。私たちは一部の消費者による常軌を逸したクレームを問題にしているのですが、マスコミで悪質クレームの取り組みが報道されると、『われわれ消費者を敵に回すつもりか!』という誤解を招くこともあります」

――では、従業員は泣き寝入りですか? UAゼンセンでは、かなり具体的な悪質クレームに対する対策マニュアルを作りました(前編参照)。しかし、これは企業側と協力し合ってこそ成果を発揮すると思います。対策マニュアルのある企業はどのくらいあり、また、会社側がとる毅然とした対応とは、具体的にどんなことをするのですか。

森田さん「対策マニュアルのある企業がどれだけあるか、現段階では調べていません。推測ですが、決してすべてが泣き寝入りではなく、明らかなセクハラや殴る、包丁をちらつかせるなどの暴力行為は犯罪ですから、警察に突き出すこともあると思います。
   また、危ない時は上司や警備員を呼び、チームで対応することもあります。ただ、私も書店で高齢男性が、本を持ってくるのが遅いことに腹を立て、女性店員の顔にしおりの束を投げつけた場面に遭遇しましたが、あっけにとられてすぐ対応できないのが現実です。泣きじゃくる女性店員のケアをしているうちに気づいたら、客はいなくなっていました」
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