セクハラ被害「やめて!」と言えば、SNSで逆ギレ
さらに、じつは接客業の女性従業員はセクハラ被害を受けやすい。しかも、相手が「お客様」だけに対応が厄介なのだ。
【セクハラ型】
(1)商品の場所の案内をしたら、後ろからお尻をさわられた。
(2)お客からの問い合わせの際、腰のあたりをなでられた。とても不快だったが、「お客様」だと思って注意できなかった。
(3)食事、お茶、カラオケに誘われたり、電話番号を聞かれたり、店の外で待ち伏せされたりした。
(4)夜の職場で品出しをしていると、肉体関係を迫られた。
そして、こうしたセクハラに毅然と対応すると、SNSやインターネットで返り討ちにされるのが最近の傾向だ。森田さんも、「ネット上の一方的な誹謗中傷がクレーム対策を難しくしている」と指摘する。
【SNS・ネットの誹謗中傷型】
(1)女性従業員の体にさわる客がいたので男性従業員が止めに入ると、怒り始めた。110番通報し警察で厳重注意をすると、逆ギレされ、通報した従業員の実名をあげてネット掲示板に誹謗中傷する内容を書かれ、拡散された。
(2)ラストオーダー間際に来店、閉店後に帰宅を促しても聞き入れず、逆に「どこまで客に迷惑をかけるのか」という趣旨で動画配信された。
女性のセクハラ被害を告発する「#MeToo」運動が世界中に広がっているが、接客業の女性従業員も、そう声をあげたいのかもしれない。
UAゼンセン流通部門では、消費者問題専門の弁護士や大学研究者らと勉強会を開き、2017年10月に「悪質クレームの定義とその対応のガイドライン」をまとめた。
後編では、その内容をもとにUAゼンセンの常任中央執行委員の森田了介さんに、どうしたら悪質クレーマーに対応できるかを聞く。