敬老入浴事業は税金、でも費用対効果は?
敬老入浴事業のために、どの自治体もそれなりの税金を使っているはずだ。だけど、「費用対効果」という点から見ると、そんなに胸を張れる事業なのだろうか。
でも、月に2~3回ではなくて毎日、高齢者を割引料金で入浴させてくれるのなら、文句も言えないな。そう思っていたら、そんなところもあった。
たとえば、東京都中央区だ。65歳以上の区民は年中いつでも100円で銭湯を利用できる。これなら、「健康増進」「ふれあい交流」と言われても仕方がない。そう思いかけたが、中央区には肝心の銭湯が今9つしかない。そのせいだろう、お隣の千代田区、台東区の計5つの銭湯も「協力浴場」ということになっている。
僕が子供のころ、銭湯に行くときは、たらいにタオルとせっけんを入れ、下駄履きでカラコロ、といった感じだった。
だけど今、まさに東京都の中心である中央区あたりで「敬老入浴事業」のお世話になろうと思っても、住んでいる場所によっては、そう簡単にはいかない。ある程度、服装を整え、地下鉄かバスでということにもなりかねない。勢い、入浴料金100円が年中OKでも、銭湯には足が遠のくのではないか。
表立って反対はしにくい「敬老入浴事業」だけど、実際に「高齢者福祉」にどれだけ役立っているのか。よく考えてみると、はなはだ心もとないのである。(岩城元)