東京・池袋にある豊島区役所で「敬老入浴のご案内」というチラシを見つけた。「高齢者の方の健康増進に活用していただくため、区内の銭湯に100円で入浴できる敬老入浴事業を実施しています」とある。
豊島区は65歳以上が100円、でも1年に30回まで
豊島区内在住65歳以上の人は区役所発行の「としま・おたっしゃカード」を持って銭湯に行けば、本来なら460円の入浴料金が100円になる。ただし、1年間に利用できるのは30回までだ。
お隣の板橋区役所をのぞくと、ここにも同じようなチラシがあった。「区内在住の70歳以上の方の健康増進とふれあい交流を図る」のが目的である。入浴料金100円は豊島区と同じだが、年間に利用できる回数は25回で、豊島区より少ない。対象年齢は豊島区より5歳上である。
そんな細かいことは別として、どちらも年寄りにとって悪くはない話である。だけど、月に2回か3回、銭湯に通ったからと言って、どれくらい「健康増進」に役立つのだろうか? 銭湯に行けば、他人にも出くわす。でも、この程度の銭湯通いで、「ふれあい交流」がどれほど進むのだろうか?
事業の名前や中身は少しずつ違うが、東京の他の区でも同じようなことをやっている。「高齢者福祉」という目的はどこも同じで、大阪市でも毎月1日と15日、70歳以上の入浴料金を通常の440円から270円に割り引いている。