「月刊スキージャーナル」や「月刊剣道日本」などスポーツ関連の書籍を発行していたスキージャーナル(東京都北区)が、破産した。
元従業員らが東京地裁に申請した。従業員が、こうして以前に働いていた会社の破産を申し立てるのは、よくあるケースなのか――。J-CAST会社ウォッチ編集部が弁護士に聞いた。
「労働債権を確定して、早期に返還を求める」
民間信用調査会社の帝国データバンクが2018年1月15日に公表したところによると、スキージャーナルは9日、東京地裁へ破産を申請、受理された。負債額は約4億1900万円(2017年5月時点)。申立人は元従業員ら21人だった。
1月17日のJ-CAST会社ウォッチ編集部の取材に、弁護士法人・響の天辰悠弁護士は、「(元従業員が破産を申し立てた事例は)一定程度件数はありますが、あまり多くはありません」と明かす。
その理由には、「費用面の問題があります」という。
破産の申し立てにあたって、債務者は裁判所に予納金を納め、代理人の弁護士に報酬を支払わなければならず、「すでに何か月か給与の支払いを受けられていないのに、こうした費用を準備するのは至難の業でしょう」と、天辰弁護士は話す。
従業員が破産を申請したことで労働債権を確定して、その返還を求めることになる。天辰弁護士は、そのメリットを「少しでも早期に未払い賃金を回収することができます」と指摘。「労働債権は、破産者の財産のなかから優先的に支払われるべきものと位置づけられています。また、破産手続の開始決定がなされると、一定の要件を満たせば未払賃金立替払制度という公的制度を利用して未払い賃金の支払いを受けることができるのです」と、説明した。
過去にも、外食チェーンを展開していた春陽堂とその子会社の茶月(いずれも、京都市南区)の事例がある。2013年1月15日、両社はUAゼンセン春陽堂労働組合と従業員から京都地裁へ破産を申し立てられ、倒産したケースがある。
スキー人口の減少が痛手か......
スキージャーナルは、1984年に設立。66年創刊のスキー雑誌「月刊スキージャーナル」や剣道雑誌「月刊剣道日本」、その他スポーツ関連の実用書などを手がけた。2004年5月期には約11億2300万円の売上高を計上した。
しかし、バブル期のスキーブームにも、陰りがみえている。日本生産性本部「レジャー白書2017」の統計によれば、スキー人口は2006年からの10年間で200万人超も減少した。
インターネットの普及でメディアの多様化は進む一方で、同社の売上高も2017年5月期に約4億4100万円まで落ち込むなど低迷。17年12月末、「月刊スキージャーナル」「月刊剣道日本」の休刊を発表していた。