2017年の「飲食業」の倒産(速報値)は、前年と比べて19.2%増えて762件に達した。東京商工リサーチが2018年1月5日に発表した。2014年(768件)以来、3年ぶりに750件を上回った。
仕入れ価格の高騰や人手不足による人件費増加などのコストアップが影響し、さらに景気実感の乏しさを背景とした個人消費の鈍さが、倒産の増加に拍車をかけているとみられる。
約9割が小規模・零細の飲食店の倒産
東京商工リサーチによると、2017年の飲食店の倒産状況は、全体の倒産件数が低水準で推移するなかで、2年連続で前年を上回った。
負債総額(速報値)は、前年比23.7%増の416億6500万円で、負債金額ベースでも2年連続で前年を上回った。負債10億円以上の大型倒産は前年と同じ4件だったが、負債1億円以上5億円未満が74件(前年比48.0%増、前年50件)と大幅に増加したことが影響した。ただし、全体では負債1億円未満が677件と88.8%を占め、小規模・零細企業の倒産がほとんどだった。
個人消費鈍く、今後も増勢に懸念
また、業種別でみると、最多が日本料理や中華料理、フランス料理店などを含む「専門料理店」の203件(前年比13.4%増、前年179件)。次いで、「食堂・レストラン」の200件(34.2%増、149件)、次いで、居酒屋などを含む「酒場・ビヤホール」が115件(35.2%増、85件)、「喫茶店」が59件(34.0%増、44件)と、それぞれ増加が目立った。
一方、原因別でみると、最多が販売不振の618件(前年比17.7%増、前年525件)で、全体の81.1%を占めた。次いで、事業上の失敗が41件(46.4%増、28件)、赤字の累積が34件(17.0%減、41件)と続いた。
飲食業は「参入は容易だが、生き残ることが難しい業界」とされるが、東京商工リサーチは、「消費者が景気上昇の実感に乏しいことも、外食や飲酒など飲食関連に向ける個人消費の伸び悩みの背景として考えられる。このため、飲食業の倒産は今後も増勢が懸念される」としている。