毎朝、出勤前の身支度に苦労する女性は少なくないだろうが、昔の働く女性はどうしていたのだろう――。そんな疑問に応える動画がYoutubeに公開され、話題になっている。
英国の美術館が18世紀の働く女性の朝の身支度の様子を、当時の衣装や生活用品を使って忠実に再現した。インターネットでは「こんなに大変だったなんて。私には耐えられない」という驚きの声が相次いている。
コルセットの装着にスカートは2枚重ね......
動画のタイトルは「Getting dressed in the 18th century-working woman」(18世紀の働く女性の身支度)で、英国リバプールにあるレディー・リーバー美術館が制作した。
この美術館は、18~19世紀の美術作品や家具などの生活用品、衣装、骨董品の豊富なコレクションを持つことで知られる。動画の中で使われた女性が身に着ける服やベッド、家具、壺などの生活用品はすべて18世紀の物が使われている。英国では18世紀後半から産業革命が起こり、女性が工場などに「出勤」することが一般的になった。
働く英国女性の身支度の様子は2018年1月6日にYoutubeに公開された後、17日正午現在、視聴回数は80万回を超えた。
動画は約5分半で、「コケコッコー!」という雄鶏の朝の鳴き声から始まる。ベッドから起き上がる女性。18世紀の働く女性の朝は洗顔から。壺の水を陶器の大皿に入れ、さらっと洗うだけ。洗顔用クリームなどは使わず、濡れた顔をやさしく拭いて終わり。靴下をはく。ひざ上までのニーソックスだ。もものあたりにリボンの蝶結びで靴下を止める。
次はコルセットを付ける作業。これが一番大変だ。貴婦人が付けるコルセットは、使用人が背中から縛るゴージャスなものだが、質素な働く女性のそれは、前面からひもをクロスして通すシンプルなタイプ。両側にそれぞれ10数個ずつある穴に一つひとつ丁寧にひもを通していく。ブラジャーがなかったため、バストを支える目的があった。
コルセットを付け終わると、腰にバッグを巻き付ける。バッグは袋状になっており、物を入れるポケットになる。当時の女性はハンドバッグを持たなかった。続いてペチコートを巻き付ける。ペチコートは日本の袴のようにサイドに切れ目があり、そこから手を入れるとちょうどポケット(バッグ)に届く仕掛けだ。
続いて長いスカートを頭からすっぽりかぶる。スカートも前と後ろの2枚あり、重ね着をするから大変。このあたりで、映画などでおなじみの18世紀女性特有のふっくらしたドレスシルエットに近づいてくる。