2017年2月に経済産業省や日本経済団体連合会(経団連)の主導により、鳴り物入りで始まった「プレミアムフライデー」。毎月末の金曜には15時退社を促し、個人消費を増やすことがキャンペーンの狙いだった。
ところが、開始後丸1年も待たずに「失敗」したことが、オンライン総合旅行サービスDeNAトラベルが2018年1月9日に発表した調査結果でわかった。導入している企業は1割で、その中には中止した企業や、金曜以外の曜日に振り替えた企業もあるという。
「旅行」をした人、ほとんどいない
調査は2017年12月28日~18年1月3日にインターネットで実施。20歳以上の男女1297人から回答を得た。その結果、勤務先でプレミアムフライデーが導入された人は10.6%だけだった。しかも、その中で、導入はしたものの早くも中止したところが1.0%あった。
また、会社の都合によって金曜ではなく他のウィークデーに早帰り日を変更したり、退社時間が15時以降になったりするなど、当初の趣旨である大型3連休に準じるという条件とは異なる方法での導入が2.7%もあった。
その結果、当初の趣旨どおりのプレミアムフライデーを行なっているのは、わずか6.9%というありさまだ。
じつは、DeNAトラベルでは、プレミアムフライデーが始まる直前の2017年1月にも調査している。その時は、「プレミアムフライデーが導入されたら、アフター3は誰と何をしたいか」など期待感を主に聞いていた。すると、「パートナーと一緒に過ごす」という人が半数以上を占め、何をしたいかの圧倒的1位は「旅行」で70.9%、続いて「自宅でゆっくり」が46.4%、「買い物」が36.0%だった。
そこで今回、プレミアムフライデーを導入した企業に勤めている人に、改めて「何をして過ごしたか」を聞いたところ、1位は「自宅でゆっくり」が41.4%、2位は「外食」で27.3%、3位は「買い物」で21.2%だった。
1年前に一番やりたいこととして挙がっていた「旅行」は、実際には11.1%しかなかった。また、「仕事」をした人が20.2%もおり、理想と現実のギャップが透けて見える結果となった。
「『ズル休みマンデー』で3連休にしたほうがいい」
また、プレミアムフライデーの大きな目的は、消費量を増やすことだった。そこで、プレミアムフライデーが導入された人に「自分の出費が増えたかどうか」聞いたところ、「変わらない」と答えた人が69.7%を占め、「増えた」という人は15.2%にとどまった。
1年前の調査では、「プレミアムフライデーが導入されると自分の出費は増えるか」という問いに、「増えそうだ」と答えた人が74.4%もいたから、経済効果の面でも失敗したのは明らかと言えそうだ。
さらに、目的のひとつだった「働き方改革」でも、プレミアムフライデーが導入された人に「働き方が変わったか」聞くと、「変わらない」という人が59.6%もいた。そして、「良い方に変わった人」が20.2%、逆に「悪い方に変わった人」が10.1%おり、働き方改革でも疑問符がつく結果となった。
プレミアムフライデーについては、ネット上でも「#プレミアムフライデー失敗」というサイトができ、次のような声が寄せられている。
「失敗して当然だよ。官僚は市民の生活レベルがわかっていない。若者の今の財政状況は本当に厳しいんだってば」
「『ズル休みマンデー』を提案します。理由は何でもよいのでとにかく月曜日も休んで日本中を3連休にするといい」
「プレミアムフライデーまったく関係ない。それより企業に有給消化を義務づけしてほしい。1日も取らせてもらえなくて消えるだけの名ばかりの有給がもったいない」
「そもそもお金が欲しくて残業して時間がない層と、お金があって時間の融通の利く層と全然違う」
「新しく仕掛けたことは素晴らしいと思う。でも失敗は失敗」