「こんなものいらない!?」その6で、郊外電車や地下鉄、JRでの「饒舌な車内放送」はやめてほしいと書いたが、駅でのアナウンスも同じようにうるさいのが目立つ。
しかも、車内アナウンス以上に「ああしろ、こうしろ」とお説教じみている。
「きっぷは降りる駅まで大切にお持ちください」ポスターにびっくり
たとえば、駅に電車が近づいてくる。まず「〇番線に電車がまいります」というアナウンスが流れる。続いて「危ないですから、黄色い線の内側に下がってお待ちください」。ホームドアのある駅だと、「ホームドアから手や顔を出したり、もたれかかるのはおやめください」。
電車が遅れている時だと、「ただいま3分遅れで隣の〇〇駅を発車しております」。いよいよ、電車が駅に着く。「ご乗車の際はお近くのすいているドアをご利用ください」。
乗客の乗り降りが済むと、「ドアが閉まります。手荷物をお引きください」「駆け込み乗車はおやめください。次の電車をご利用ください」。
電車を降りて歩いている乗客には「電車から離れてお歩きください」。
エスカレーターに乗ろうとすると、「手すりにつかまり、黄色い線の内側にお乗りください」「大変危険ですので、駆け上がったり、駆け下りたりしないでください」。
もちろん、鉄道会社によって、内容は少しずつ違っているが、共通しているのは、しょっちゅう何かを叫んでいることである。
アナウンスだけではなく、駅の壁に貼られたポスターもまたお説教じみている。
「電車内で会話をする際には、声の大きさにご注意ください」「全面禁煙にご協力ください」「やめましょう、歩きスマホ」「割り込み乗車はおやめください」などなど、多くは絵入りで、「あれもやめろ、これもやめろ」と攻めてくる。
決して間違ったことは言っていない。ただ、「きっぷは降りる駅まで大切にお持ちください」というポスターにはびっくりした。きっぷが行方不明になり、靴まで脱いで探しているおじさんの絵がついている。
このポスターには「きっぷは目的地まで正しくお求めください」とも書いてある。「不正乗車防止」が狙いなのかもしれない。だけど、こんなことまで言われるほど、私たち乗客は幼稚なのだろうか。
日本人は「子供」台湾は「大人」の違い
僕はいま(2018年1月)、去年に続いて台湾・台北で正月を過ごしている。
当地の地下鉄には毎日のように乗っているが、駅のホームで日本のようなアナウンスは、まず耳にしない。音声が聞こえてきても、駅名のアナウンスくらいで、電車の発着は赤い警報ランプがチカチカしたりして知らせている。
電車が遅れていても、電光掲示板で表示されるだけで、アナウンスはない。マナーを呼びかけるポスターはあるけれど、大変に少ない。駆け込み乗車はやめようというのも、ホームドアに小さく書かれている程度である。
おかげで駅のホームは日本よりずっと静かで、落ち着いた感じがする。悔しいけれど、日本人は「子供」、台湾人は「大人」のように思えてしまう。(岩城元)