「地雷敷設地域に足を踏み入れるような用心深さを持とう!」――。日本の就職面接試験のエチケット動画が、海外で話題だ。米経済金融情報誌サイト「Bloomberg」が2017年12月28日にツイッターに投稿した。
面接官にお辞儀する時は背中を30度の角度で、しかし立ち去る時は45度の角度でなどと、「儀式」を細かく解説。日本ではおなじみの光景も、海外のネットユーザーには「奴隷の採用試験か!」と異様に映るようだ。
面接時のお辞儀は最初は30度、終わりは45度で
動画のタイトルは「日本の就職面接試験で成功(または失敗)する方法」で、約1分50秒の短いもの。2017年4月3日付で配信した同名のタイトルのオンライン記事を元に動画化した。
じつは、この動画自体も17年4月に「Bloomberg」の公式ホームページに公開されている。今回再びツイッターに投稿したのは、よほど反響が大きかったからかもしれない。
面接時の服装は、スーツ、カバン、靴の色は黒。シャツは白でネクタイは派手な色は避ける。建物に入る前にコートは脱いでおく。遅刻は厳禁だ。
日本ではトレイのドアは2回ノックすると、「入ってま~す」と返事がくるが、面接室のドアは3回ノックすると「入りなさい」と返事がくる。
部屋の中に入ったら、「失礼します」と言ってお辞儀をして、用意された椅子の必ず左側に立つこと。名前、大学名を言って、もう一度お辞儀だ。「座りなさい」と言われるまで座ってはいけないよ。
お辞儀にも厳格なルールがある。入室時は30度の角度で曲げてお辞儀をすること。面接が終わって立ち去る時は45度の角度だから間違えてはいけないよ。椅子に座る時はお尻から先に着座し、背もたれに寄りかかってはいけない。手は男性なら膝の上に、女性なら腿の上に置くこと。
面接の最中は、礼儀正しい言葉を使うのはもちろんのことだが、面接が終わったら椅子を元の場所にきちんと戻す。そして、「失礼します」と言ってお辞儀をして(45度だよ!)退室した後も、絶対に建物から出るまで気を抜いてはいけないよ。あなたは見張られているかもしれないからね......。
「どのくらい企業に合わせることができるかをチェック」
Bloombergの2017年4月3日付の記事によると、同紙はこうした内容を、日本の就職・転職サイト大手の「リクナビ」を参考にして制作したという。記事の中で、海外企業の日本展開を支援しているジャパン・インターカルチュラル・コンサルティングのロッシェル・カップ社長は、こうしたマナーについて次のように説明している。
「マナーそのものには意味はありません。どのくらい企業に合わせることができるかどうか、チェックをしているのです」
この動画に、ツイッターではこんな意見が飛び交っている。
「奴隷(slave)で成功する方法だろう」
「日本人がロボットを好きな理由がわかった」
「日本では働きたくないな」
「日本人のようにしたら、ストレスで死ぬな」
「礼儀正しいのはいいけど、やり過ぎ」
一方、日本人ユーザーからもこんな声が。
「残念ですが、この動画は事実です。そして、せっかく海外からやってきた来た優秀な若い人が日本の企業で働きたくなくなる原因を作っているのです」