【2018年を読む】信金・信組の生きる道「よろず相談」なんでもやる! 城南信用金庫・顧問 吉原毅氏に聞く

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「協同組織運動」を広げ、銀行ができないことをやる!

   ―― とはいえ、企業向け融資は伸びていません。このままではジリ貧ではないですか。

吉原氏「それは従来のやり方にとらわれているからでしょう。城南信用金庫はいま、リクルーター、インキュベータ―、アントレプレナーの母体になろうとしているんです」

   ―― ベンチャーキャピタル、あるいは投資銀行になろうと?

吉原氏「金融機関ですから、そういった役割もあるでしょう。しかし、もっと積極的に、自らが起業していくんです。もちろん、金融機関ですから直接手がけることができないこともあります。しかし、さまざまな支援や、係わり方はできます。たとえば、財務に精通する人材がいない、営業力が弱いといった、その企業の弱点を、当金庫の職員あるいはOB・OGが補えるかもしれません。
実際に、城南OBがワーカーズコープをつくって始動している事業があったり、太陽光発電を推進し、メガソーラーのシェアリングに取り組んでいる『城南エナジー』という会社を立ち上げたり。取引先とともに事業を立ち上げる。起業から係わることで頼りにされるし、絆がつくれる。取引先といっしょに事業を育てていく、そういった活動がめぐりめぐって、信用金庫の利益につながる。地域を活性化していくことに取り組んでいきます」
「協同組合運動を広げる」と宣言!
「協同組合運動を広げる」と宣言!

   ―― 新しいビジネスのきっかけづくりは、どうされているのですか。

吉原氏「じつは16年8月に、全国265(当時)の信用金庫の協力、協賛を得て、北海道から沖縄までのお取引先の中小企業が一堂に会して、『よい仕事おこしフェア』を開きました地域と地域のお客様とをつなぐビジネスマッチングの機会で、2日間で約4万人が来場し、8000件のビジネス商材がまとまりました。
東京と地方のお客様とが、新たなビジネスでマッチングしたり、バイヤーがつながったりしました。当金庫でも、異業種交流会の開催や『友の会』組織を通じて、ビジネスマッチングやお取引先の新規事業の発掘や拡大には取り組んでいますが、事業を大きく育てていくには、ひとつの信用金庫だけでなく、全国の信用金庫や、信用組合や生活協同組合、ワーカーズコープなどとの連携が必要です。今まさに、『協同組合運動』の広がりが求められているのです」

プロフィール

吉原 毅 (よしわら・つよし)
城南信用金庫顧問、城南総合研究所所長

   1977年慶應義塾大学経済学部卒、城南信用金庫入職。92年に理事・企画部長、96年常務理事、懸賞金付定期預金などの新商品の開発などに従事。98年常務理事・市場本部長、その後、事務本部長、業務本部長を歴任し、2006年副理事長、10年理事長に就任。15年相談役、17年に現職。

   著書に「信用金庫の力」(岩波ブックレット)、「城南信用金庫の『脱原発』宣言」(クレヨンハウス・ブックレット)、「原発ゼロで日本経済は再生する」(角川学芸出版)。東京都大田区出身、62才。

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