おいしい? 相続問題
とはいえ、「過払い金返還請求」は下火になりつつある。
利息制限法や出資法という関連法に対する行政指導などが行われ、貸出金利が正常化すると過払いの問題はなくなる。過払い金請求には10年の時効がある。つまり、時が経つほどに過払い金請求に該当する案件は減少するのだ。
こうした背景から、「今が書き入れ時」とばかりに、アディーレ法律事務所だけでなく、多くの弁護士が過払い金請求に手を出した。そして、その過当競争が、「アディーレ法律事務所問題」のような弁護士にはあってはならない問題を引き起こした。
しかし、すでに過払い金返還請求はピークを過ぎている。過払い金請求で、「濡れ手で粟」のような儲けをあげた弁護士は、今後、何を糧としていくのか――。それについて、民事を専門とする、ある弁護士は「相続問題」と言い切っている。
高齢化が進んでいく中で、「相続問題」は確実に増加してきている。さらに、相続人そのものが高齢化し、認知症などを患っていることも多い。こうした状況のなか、2018年に民法などの相続関係(相続法)が改正され、遺産分割などに関して新たな法律ができる予定だ。「それこそが、過払い金返還請求が下火になったあとの、弁護士の『飯のタネ』になっていくだろう」というのだ。
前出の弁護士は、「相続も手続きが複雑で、弁護士が関与できる範囲が大きい。今後は過払い金返還請求でのアディーレ法律事務所のように、相続問題の専門家をうたう弁護士事務所が出てくるだろう」と指摘する。半面、相続問題は税理士事務所なども一枚噛んでいるから、そうは容易くない市場でもある。
相続問題を抱える可能性がある方々は、くれぐれもご注意を! (鷲尾香一)