【2018年を読む】データ改ざん、品質偽装...... 日本版「世界標準」をつくるスタート 企業アナリストの大関暁夫氏に聞く

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   東芝、神戸製鋼、日産自動車、SUBARU、三菱マテリアル、東レ...... どれも日本を代表する有名な老舗企業だが、いったい、いくつの企業で不正が行われているのか。というくらい、続々と「膿」が噴き出している。2017年は、日本企業の信用が大きく揺らぎはじめた。

   日本企業の信用力は回復するのか、なぜ、このような事態に陥ったのか、2018年にその処方箋はあるのか―― J‐CASTニュース会社ウォッチで「社長のお悩み相談室 ~オレの話を聞いてくれ」を執筆する企業アナリストの大関暁夫氏に話を聞いた。

  • 大関暁夫氏は「いまの『コンプラ至上主義』は見直すべき」という。
    大関暁夫氏は「いまの『コンプラ至上主義』は見直すべき」という。
  • 大関暁夫氏は「いまの『コンプラ至上主義』は見直すべき」という。

職人気質とグローバルスタンダードのミスマッチ

   ―― 2017年はデータ偽装など不祥事の数々がありました。今年もまだまだ続くのでしょうか。

大関暁夫氏「もう、いろんな企業で問題があるんじゃないかって感じですよね。最近は、一時の食品偽装のようになってきた。ここぞとばかりに膿を出し切ってしまおうといった様相です。しかし、それは出し切ってしまったほうがいいので、きっかけはどうであれ、もし不正が見つかったのであれば、すぐに公表すべきです」

   ―― それにしても、名前があがる企業はどれも名門で世界的な、日本を代表する企業ばかりです。なぜでしょう。

大関氏「ひとつは上場企業だからです。コンプライアンスを守らなければ、株主に見放され、株価が下がります。逆にみると、株主による『監視の目』が行き届くようになってきているといえ、『守るべきものは守る』という企業風土が評価されているわけです。ですから、法令遵守の姿勢はまったく問題ありません」

   ―― これまでは守られていなかったということでしょうか。

大関氏「いや、守られていなかったわけではありません。不正が明らかになった企業に共通しているのは、『製品の安全性には問題がありません』ということ。そう口をそろえています。確かにそうなのかもしれません。製品の安全性を支えてきたのは、おそらくは技術力というか、日本人の職人気質があったのでしょうから。よく言えば、昔気質の日本企業らしさなのでしょう。
そういったものは、日本のかつての高度経済成長を支えてきたものでもあります。それがグローバルスタンダード(世界標準)の中で、余裕がなくなってきた。合わなくなってきたといえます。それを無理やり合せてきた結果、知らず知らずのうちに取り残された部分が残っていたのではないでしょうか。
見方を変えれば、『コンプライアンスの遵守』という言葉だけを懸命に守ろうとして、急いだり、無理したりしてきたといえます。その一方で、株主重視するあまり、数字をつくること(業績)ばかりを気にしてきたことが、さまざまな不祥事の温床になってきたのではないかと考えています」

   ―― 2018年はどうなりますか。

大関氏「日本人はマジメですから、コンプライアンスを遵守しなければならないというと、隅から隅まで、きちんと守らなければならないと考えます。決まっているルールを守ることに間違いはありませんが、『コンプラ至上主義』のような、凝り固まった考え方は見直したほうがいいと思いますね。
グローバルスタンダードといっても、結局のところ、米国スタンダードですからね。場合によってはルールが間違っているのでないか、合わなくなっているのではないかと、考えてみることも必要です。誤りを正すことは言うまでもありませんが、日本らしさがもっと世界に通じるルールで、その下で健全な企業経営ができるようになっていってほしいと思います。2018年は米国の押し付けではない、仕事の勘どころ、経験でOKの部分を生かした新たな日本版のグローバルスタンダードをつくる時代と考えます。
そのためには、まず膿を出しきってしてしまうことが必要。悪い風習は断つ。でも、日本らしさを失わないようにする改革が必要です。
メディアにも注文があります。不正を公表した企業を、ただ責めたり、重箱の隅を突っついたりするだけでなく、不正を糺すためにルールを見直すというのであれば、それを歓迎してもらいたいですね」
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