【2018年を読む】年金は破たんしない! 少子高齢化社会の本質とは(ライフネット生命・出口治明)

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高齢者が自由に働き方や生き方を選べる時代

   こういうと、シルバー層の人たちは「いつまで働かせるんだ」と。あるいは若い人からは「老害」などと揶揄され、邪魔者扱いされるのがオチ、そんなふうに考えてしまいがち。しかし、それは年功の組織に縛られることを前提にして考えているからです。

   生き方を、自由に選べる。自由に働き方が設計できると考えみたら、どうでしょうか。組織は、従業員が適材適所で働くことができれば、みんなが潤うのです。

   では、働き続けるために必要なことはなんでしょう。そのためには、進化する社会に取り残されないようにすることが大切。いまやっている仕事に真剣に取り組むことが重要です。仕事を通じて知識が広がり、勉強し続けることができます。人付き合いも広がっていきます。学び直すこともいいでしょう。それにより、さらに実力がつきますし、知識に磨きがかかってくるのです。

   仕事を続けていれば、60代、70代になっても、社会に取り残されることはありません。しかし仕事を辞めたら、30代、40代でも社会から取り残されてしまいます。年齢ではないのです。働き続けることが最大の自己投資になるのです。

   そのために大切なのが、健康です。からだが健康じゃないと全力で働けません。「健康のための投資」がものすごく大事なのです。「働きすぎ」や「がんばりすぎ」で、健康を損ない、結果的に仕事を辞めてしまう負のスパイラルに陥ってしまわないようにする必要があります。健康に働き続けるためにお金とエネルギーを使う。そうすると、長く楽しく元気で働くことができます。生涯収入も増えることになります。高齢化社会に備えるとは、決してお金を貯めることではありません。働き続けることが一番のです。(出口治明)

出口治明
出口 治明(でぐち・はるあき)
ライフネット生命保険株式会社創業者。1948年三重県生まれ。京都大学卒業後、1972年に日本生命保険相互会社入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを歴任。2008年、ライフネット生命保険株式会社を開業。著書に『生命保険とのつき合い方』(岩波新書)、『働く君に伝えたい「お金」の教養--人生を変える5つの特別講義』など。
2018年1月から、立命館アジア太平洋大学学長、学校法人立命館副総長。
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