2017年はトランプ米大統領という「千両役者」が登場して、我々はそれに引きずり回された1年だった。
日本人にとっては、北朝鮮との戦争の脅威が最大の課題であるし、欧州では英国がEU離脱への歩みをはじめた。また、中国では習近平がますます権力基盤を固め、海外への影響力を強めるなど、世界各地で大きな政治的動きが色々あった年だった。
トランプ政権暴走も、経済は別物だった
しかし、政治の混乱とは裏腹に、世界経済は全般的に非常に好調で、おおむね安定していた。つまり政治と経済は別物、というのが2017年の最大の教訓だった。
日米欧の先進国経済は好調だったし、新興国経済もおおむね良かった。2007年の金融危機から十年が経過して、世界経済は完全に復活したと言ってよい。
2018年についても、北朝鮮との戦争や世界同時多発テロのようなシナリオにでもならない限り、経済は順調に推移していく可能性が高いだろう。
米国経済は絶好調であり、オバマ政権時代からの好調をずっと維持している。トランプ大統領の公約は「年4%成長」だが、持続可能な成長率は2%前半程度とされる中で、このところ3%台の成長率を遂げている。
失業率はオバマ政権の初期には10%を超えていたが、4.1%まで下がった。しかし、賃金水準はほとんど上昇せず、インフレにもなっていない。
消費も投資もどちらも強い。特に消費者マインドは2004年以来の高さにある。株価と住宅価格が高く、失業率が下がっているので、中流以上の層はホクホクだ。
米国の株式市場はハイテク株を中心に上がってきている。米国人は平均的に投資の3割から5割程度を株式投資に回しているため、これが直接彼らの資産の増加となる。消費は旺盛で、カネを使う分、貯蓄は減っているが、デフレの心配は少なく、問題視されることはない。
米国の、2018年の大きなテーマは、連邦法人税の35%から21%への引き下げだ。
これが景気をさらに押し上げるとみられるが、これだけ好景気の時にさらに減税をするのが良いことかどうか、インフレや財政赤字の拡大といったマイナス面も考えないといけない。
新しい顔ぶれとなる米連邦準備理事会(FRB、中央銀行)は、減税による景気過熱が起きれば、引き締めのために金利をかなり上げてくる可能性もある。