「歳末たすけあい」という言葉を、テレビCMで聞いてハッとした。
今年は一度も、まとまった募金をしなかった私である。すみません、女も31歳になると、老後の生活設計が気になり、見知らぬ人を助ける余裕がまったくないのです......と言うと、「それはアンタだけだよ! 大人なら募金のひとつくらいしたらどうかね」とツッコミがきそうだが、私は老後のことが不安で仕方がない。
絶望の「生活費1億円」
年の瀬までお金の話題で恐縮だが、私は健康体だから長生きしてしまうだろう。そうしたらきっと、生活費や医療費が重くのしかかる。一体いくら貯金すればいいんだろう。不安で夜も眠れないのである。
あれこれ思い巡らせていたら、なんと1年前の自分も、おんなじことを考えていた(「独身女」、老後に思い馳せる 「えっ?こんなにかかるの!」2017年1月20日付)。
このとき、私が試算した「今後の人生にかかる費用」は、なんと「1億円」! 絶望の1億円事件である......なんてふざけているが、いったいぜんたい、どんな計算をしたら1億円も必要になるのか。
まず、現在31歳の私が「100歳まで生きるとして」と仮定しているが、これは根拠がある。厚生労働省の公表によると、日本人女性の平均寿命は87.14歳(2016年時点)。女性の4人に1人は、95歳超まで生きるのだ。
つまり健康体の私が「100歳」まで長生きする可能性は、50%くらい。すると、あと70年は生きることになるから、70年分の生活費を計算したのである。
このまま結婚も出産もせず、最終的には両親の持ち家を譲り受けて、リフォームしながら生活するとして、年間支出が135万円×70年。75歳の「後期高齢者」になってからは、医療費や介護費用もかかるので、なんだかんだで今後、1億円は必要との計算だ。
老後の収入に「公的年金」はない 頑張って80歳まで働くぞ!
ちなみに私は自営業なので、国民年金に入っている。が、老後の収入にはまったく「年金」を考慮していない。私が高齢者になる頃には、年金制度が破たんして、一銭ももらえないと絶望しているのだ。
これから70年も生きるのに、年金の支えもなしに、1億円のチケットが必要なのかァ...... 気が遠くなる。息しているだけでお金がかかるなんて、人生、なんの罰ゲームだろうか。
いや、ちょっと待てよ。私が高齢者になる2051年には、誰もが75歳超まで働くのが当たり前になるだろう。私も頑張って、80歳まで働くとして、年間135万円程度の生活費さえ稼げれば貯蓄を崩さなくていいのだから、意外といけるんじゃないか。
仕事を引退する(せざるを得ない)80歳から、死亡する100歳まで、20年分の生活費を貯めればいいと考えると、わずか!? 3000万円ほど。健康で働き続けることさえできれば、なんとか貯蓄可能な額に思えてくる。少なくとも「1億円」よりは、はるかに現実的な額だ。
1年前の私は、何を絶望していたのだろう。「70年間の生活費、1億円」という数字にビビっていたが、これから「毎年50万円」貯金すれば、あと50年で2500万円貯まる。もうちょっと頑張れば、80歳からの生活費「3000万円」に手が届きそうだ。少し希望が湧いてきた。 よし、頑張ろう! と、俄然やる気になった私である。来年もたくさん、仕事がきますように。(北条かや)