【2017年の通信簿】鬼門「7の年」沸騰株価で乗り切った 2018年の狙い目はコレ!(石井治彦)

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   株式相場の歴史をひも解くと、過去に末尾に「7」の付く年は大きな経済問題が発生すると言われてきた。事実1987年のブラックマンデー、97年のアジア通貨危機、2007年には米サブプライム問題が発生した。

   2017年もきょうで終わり。世界経済を揺るがすような事態に陥ることなく、このジンクスは破られることになりそうだ。それどころか、日本株は10月の衆院選で自民・公明の与党が大勝したことをきっかけに沸騰した。「新聞ななめ読み投資術」で掲載した株も良績を残せて、うれしく思っている。

  • 素人の元サラリーマン投資家にしては上デキではないでしょうか
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アベノミクス様々! MUFG株、驚きの9割アップ

   2017年初め、多くの専門家の経済予測は「アベノミクスの好調持続」だった。国内ばかりではなく、世界に目を向けて見ると、米国経済は9年もの長期にわたり経済成長をおう歌している。また中国も、11月の全国人民代表大会(全人代)を経て、経済的には一応安定を保っているようにも見える。国内総生産(GDP)第1位、第2位の両国経済が堅調に推移することで、それを取り巻く東南アジアや日本の経済も堅調に推移しているようだ。

   そうしたなか、日本株をみると11月7日に日経平均株価が2万2937円89銭と、26年ぶりの高値を更新。日本経済は、戦後最長と言われる「いざなみ景気」(2002年2月から2007年10月までの69か月)に次ぐ、57か月を超える長期の好況の只中にある。バブル崩壊後、長らく続いたデフレから、ようやく離陸可能な状況になってきたようにみえる。

   今年を振り返ると、1月4日の初値1万9594円64銭から12月20日の終値2万2811円08銭まで、じつに3216円44銭(値上がり率16.4%)値上がりしている。

   2016年7月に初めて記事を掲載してから、これまでに24回(23銘柄)を取り上げた。その成果は別表(株価は100株単位で表記)のとおり。素人の元サラリーマン投資家にしては、すこぶる上デキではないかと自画自賛している。

   なかでも、最初に取り上げた「三菱UFJフィナンシャル・グループ」の場合、2016年6月13日付の日本経済新聞1面には、「英(EU)離脱警戒 マネー委縮」「世界株安・円高が進行」の見出しが踊っていた。

   「これは仕入れのチャンス」と考えて、買いどきと判断したのだが、その半面、「なぜ、こんなタイミングで金融株を」と思った読者も少なくなかったのではないだろうか。三菱UFJ株は、有名企業でありながら、安く買えるのがサラリーマン投資家にピッタリだと思い、第一歩にマッチすると思った。12月20日時点で9割アップ。17年末に向けて、再度上昇を開始したようだ、引き続きウォッチしたい銘柄のひとつだ。

買い損ねたナブテスコ...... ちょっと悔しい

   記事掲載の時点から上昇した銘柄は、三菱UFJFGのほか、三井物産や住友電工、トヨタ自動車、パナソニック、デンソー、ゼンリンなどの20銘柄がある。半面、値下がりしたのは、野村ホールディングスやアステラス製薬、直近の日本触媒の3銘柄だ。

   住友電工は、1月19日に1665円で100株を、2月10日にも1850円で100株と、併せて200株を売却。残り100株を保有している。再生医療のジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J‐TEC)は、7月18日に1220円で100株、8月1日に1208円で100株を購入した。

   残念だったのは、ナブテスコ株を買い損ねたこと。世界同時好況を反映したロボットの増産に伴い、減速機は今後も有望と考えており、2018年は是非取得したいと考えている。

   トヨタ自動車は50万円を下がれば買おうと考えていたが、一向に下がらない。アサヒビールも34万~35万円での買いを目論んだが、まだ買えていない。

   野村ホールディングスは7月18日、下げたところを661円で200株を買い増し(現在、5100株を保有)。アステラス製薬も下げたところを同日、1340円で100株を買い増し、10月13日に1465円で100株売却。プラス1710円、わずかに利益を得た。現在は100株(平均取得単価1429円)を保有している。

   航空機用内装品メーカーのジャムコは、8月15日に下げたところを2406円で100株、10月13日に2311円で100株を買い増した。現在、1200株(平均取得単価29万9662円)を保有している。2018年以降にボーイング社の、開発中の新型機777Xの生産がはじまれば、業績の改善が見込めて株価に反映されるとみており、いまが仕込みどきかも、と思っている。

   ちなみに、買った銘柄はできるだけ買い増して、複数株を保有するようにしている。複数株を持っていれば、1つ(100株)ずつ売り買いすることで、売り買いのタイミングを逃さずにすむ。気に入った銘柄であれば、ずっと追いかけていけるほうが楽しめるし、企業を応援する気持ちと株で儲けたい思いの両方を実現できると考えている。

   また、保有している銘柄で、今回上昇していない銘柄についても、個人的にはさほど気にしていない。基本的に長期保有を前提に投資しているので、現段階で値上がり益が出てなくても、そのリスクを許容して気長に待てばいいと思っている。

2018年は「デフレ脱却関連株」に注目

   株式市場は「おおむね3年のうち2年は上昇し、1年は下落する」といわれるそうだ。1988年のバブル崩壊から30年近く、その後の長期にわたりデフレを経験してきた日本経済がいま、そこから抜け出そうとしている。

   「少子高齢化」「デフレ脱却」「膨大な借金財政」など、さまざまな問題を抱えてはいるものの、2018年はその絡まった糸を一つひとつ、解きほぐす元年になるのではないかと期待している。

   新年を迎えるにあたり、再度「この企業となら、長期にわたり付き合ってもよい」と思える銘柄を探ってみたい。そうしたなか、2018年の有望テーマ・業種と銘柄として考えているのは、「デフレ脱却関連株」。金融・証券や商社などの景気敏感株や、電気自動車(EV)や自動運転が注目される自動車関連株、それに併せてAI(人工知能)技術の開発・活用で注目されるIT銘柄、引き続き医療関連株に食指が動く。(石井治彦)

石井治彦(いしい・はるひこ)
   1970(昭和45)年に大学卒業後、自動車大手に勤務。リース販売を手がける。投資歴は実質25年。入社後にユーザーと接するなかで得た情報と自分の知識で、最初のボーナスをもとに株式運用を開始。しかし、78~98年の20年間は投資する余裕がなく、休止に。それが幸いしてバブル崩壊の痛手は軽傷だった。ただ、いつでも動けるよう、日本経済新聞をはじめ経済誌などには目を通していた。
   「現物株式取引」と「長期投資」が基本姿勢。2011年の退職後は少しの小遣い稼ぎと、興味をもって経済誌を読むために株式を保有している。現在、14の銘柄で、1万3800株を運用。東京都出身、69歳。
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