その「値引き」に妥当性はあるか 価格交渉の極意はコレだ!(大関暁夫)

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値引き交渉に応じる「条件」

   私はS社長ご自身が自社製品を他社に売り込む際の、値引きの妥当性の考え方を事あるごとに聞いていたので、Iさんが懸念するような経営者ではないと言うことを伝える意味で、次のような話をしました。

「社長の値引きに関する持論は、値引きを求められて了承するのは、正当な理由があるときに限る、というものです。すなわち、求められている製品やサービスの質から考えて、値引きが妥当と思われるとき。あるいは、他社提供によるほぼ同質の製品、サービスが自社よりも著しく低価格であるとき。それ以外のケースでは、値引きは求められてもするべきではないとおっしゃって、社員にも安易な値引きはするな、応じるなと言っています」

   この話を聞いてIさんは、ひとまず安心感を得てくれたようでした。

   数日後、私とIさんはC社を訪問してS社長と面談しました。私がIさんを紹介すると、S社長は真剣な表情でいきなりIさんに質問をぶつけてきました。

「あなたがイベントMCのプロとして持っているスキル、特にうちの社員にはできないであろう現場プロのスキルとはどのようなものですか?」

   Iさんは、会っていきなりの真剣な質問に若干の戸惑いを見せながらも、胸を張って次のように答えました。

「私は、ご依頼いただいた企業がブースでPRしたい製品を事前に勉強して、オリジナルのプレゼンスライドを作成します。そして当日は、それを使って劇場的なプレゼンテーションをしながら、製品に潜在的に関心のある方も含めた商談チャンスにつながる人たちを、できるだけ多くブースに引き込むお手伝いをさせていただいています」
大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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