英語をモノにする「キモ」は「続けること」です。
英語は言葉ですから使わないとすぐに忘れる。そうとわかっていても続かないのが悩みどころ。では、英語の学習を続けられる人と三日坊主で終わる人の違いはどこにあるのでしょうか? 運命の分かれ道は「スタート地点」にありました。
目標! TOEIC 970点 それでも「初級」から始めるワケ
まずは、アナタの「三日坊主になる危険度」をチェックしてみましょう。
次のうち、当てはまるものにチェックしてください。
・目標は高いほうが燃える!
・受験英語なら少しは自信がある
・英語の実力は「中級」レベルだと思っている
・一日も早く「上級英語」をマスターしたい
・「初級英語」の参考書を買ったことがない
いかがでしたか?
チェックが多い人ほど、英語の学習が「三日坊主」になる可能性が高くなります。
「えっ? 目標は高いほうが、モチベーションは上がるんじゃないの?」と思った方もいらっしゃるでしょう。
かくいう私も、以前は「高い目標に向かって頑張る」派でした。
英語は得意ではなかったけど、一応、大学受験をしたから自己評価は「中級」。ワンランク上を目指して「中上級英会話」や「実践ビジネス英語」のクラスを受講し、「初級英語」には見向きもしない。一日も早く上級レベルに達したいから、多少の無理はいとわない......
ところが、現実はそんなに甘くないんです。どんなに志が高くても、実力が伴わなければ続かない。「中上級英会話」も「実践ビジネス英語」も、どれも三日坊主で終わりました。
では、なぜ続かなかったのでしょうか? 原因は「中級意識」にありました。
私の場合、英語の実力は「中級」ではなくて「初級」レベルだったのです!
社会人になって挑戦した「英会話」や「ビジネス英語」は、受験英語とはまったくの別ものでした。難しい単語や文法の構文は知っていても、簡単な挨拶もできないし、ビジネスメールも書けない。
勝手に「自分は中級レベル」と思い込んでいただけで、実際は「初心者」だったのです。
試しに、「中学英語からやり直す英会話」といった類いの参考書を買ってみたら、これが面白い! 忘れていた基本を体系的に復習しながら、知識が増えて幹がどんどん太くなることを実感できました。
基本をマスターしていないのに、上を目指しても成果があがらないことを痛感。それからは、英語に関しては必ず「初級」から始めることをマイルールにしています。
ワンランクレベルを下げて「わかる」を積み上げよう
何かを続けるコツは、「わかる!」や「できる!」を積み上げることだそうです。
小さな自信がモチベーションにつながります。逆に、「わからない」や「できない」が続くと、気分がめいって三日坊主に終わりがちになるのです。
私は、スタート地点を「中級」から「初級」に下げて、三日坊主を卒業できました。
自分がわかるところまでレベルを下げて、そこからスタートしてみたら、「わかる!」「できる!」がたくさんあって、気持ちよく学習が進みました。
英語を始める「スタート地点」は、たまに「わからない」に出会うくらいがちょうどよいレベルです。「わかる!」が8割で「わからない」が2割くらい、が目安でしょうか。
先日、オンライン英会話の講師から「コース選択を間違っていない?」と聞かれました。初級コースを受講していたのですが、プロフィール欄のTOEIC L&Rスコア(970点)を見て、「中級コースの間違いでは?」と心配してくれたのです。
心配ご無用! 「初級」でもわからないことや知らないこと、忘れていたことがたくさんあって、毎回発見の連続です。
「わかる!」を気持ちよく積み重ねながら、確実に「わからない」を克服していく。基礎をしっかりと身につけておけば、その先の「中級」「上級」にスムースに進むことができます。遠回りのようで、最も確実な英語学習法だと思っています。(井津川倫子)
今週のニュースな英語 ~ 2017年の世界を表す、今年の「英単語」は? ~
2017年の世相を表す「今年の漢字」に「北」が選ばれました。では、今年の世界を表す「英単語」は何だったでしょうか? 私が独断で選んだ今年の「英単語」は??
今年、世界中のメディアで目立った単語が「unprecedented」(未曾有の、前例のない、前代未聞の)という単語でした。
以前、この欄でもご紹介しましたね。
私は20年近く英BBCニュースをウオッチしていますが、じつは実際のニュースで「unprecedented」を見かけたことはあまりありませんでした。むしろTOEIC L&Rの頻出単語として、TOEIC受験用に覚えた単語でした。
ところが、今年はこの「unprecedented」が大人気!
特にトランプ米大統領の言動が報道されるときは、「前例のない発言だ」とか「前代未聞の奇策だ」など、とにかくよく使われます。
そのほかにも、英国のEU離脱をめぐる交渉は「an unprecedented negotiation」(前例のない交渉)、仏大統領選でのマクロン氏の台頭は「an unprecedented rise」(前代未聞の躍進)、バルセロナで起きたテロ事件は「an unprecedented tragedy」(未曾有の悲劇)など、あらゆる場面で見かけました。
2017年は前代未聞の激動の年だったのでしょうか?
来年こそは、もっと平穏な単語をたくさん見かけたいものです。