私が住んでいるカンボジアで、民主主義が死に瀕しています。
カンボジアの最高裁判所は2017年11月16日、「政府転覆計画に関与した」とするフン・セン首相の訴えを認め、最大野党のカンボジア救国党の解党を命じました。そして、さらにカンボジア救国党のケム・ソカ党首は、反逆罪で逮捕されました。
アジアに民主主義は根付いているのか!?
これは、日本でいえば「自民党が選挙で負けそうだから、最高裁判所を使って民進党や立憲民主党を解党に追い込む」ようなもので、米国をはじめ多くの国から批判が出ています。 本当に酷い手段であり、多くのカンボジア人は「民主主義の死だ」と、絶望感をあらわにしています。
私も、いくら何でもこれは酷いと思うのですが、冷静に考えてみると、東南アジアの国々ではそれほど民主主義が根付いているのか? と思うと微妙なところがあります。
中国では、そもそも選挙がありませんし、ベトナムでは政党は共産党しか認められていません。シンガポールも実質的な一党独裁。タイも2014年に軍事クーデターが起こり、今でも国政を担う機関の多くは軍関係者で占められています。
タイは、何度もクーデターが起こっていますが、多くの人「国民は王様に敬意を示しているから大丈夫」と言われていました。
しかし、その国王も2016年10月13日ご崩御され、国は1年間喪に服していました。
この長い「喪」の期間、タイの経済はどのようになっていたのでしょう?
現地在住の、パソナタイランドの河野壮典さんにうかがってみました。
河野さんは、
「国王崩御の影響は、事前に予想されていたよりは経済への影響は軽微だったと言われています。なにせ、最悪経済が1~3か月ストップするとも言われていましたから。
ただ、影響がなかったわけではありません。特にエンターテインメント関連・ホテル・旅行・広告業界へは大きな影響があったと思います。
人々の着る服が、ダークカラーが基調になり高額商品、自動車、いわゆる贅沢品などは喪の期間かなり売り上げに影響したとも聞いています。気分的にも実質的にも経済へ大きな影響があったことは間違いないと思われます」
と話す。
このように、国王の死はそれなりにタイ経済への影響があったものの、限定的であったといえます。
軍事クーデターがあり、その混乱を抑えていた国王が亡くなり、国民から不人気の新国王になったタイでも、民間は経済を止めることなく、傷心のなか、商いを続けたわけです。