社長も社長なら社員も社員? 「数字」に執着しない中小企業のなぜ(大関暁夫)

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必要なのはルールづくり 「組織的運営」を整備する

   そこで、目標達成意識の欠如という中小企業にありがちな問題の解決策として、彼らがあげた問題点をどこから、どの順番で手をつけていくべきなのか、メモ書きを元に翌日ひとりで考えてみました。

   ヒントとして使ったのは、「マッキンゼーの7S」と言われるフレームワークです。

   会社組織運営をモレ・ダブリのない7つの要素で分析し、どこからいかに改善を進めるかを検討する際に役立つツールです。7Sは、ハードの3S「戦略(Strategy)」「組織(Structure)」「システム(System)」とソフトの4S「スキル(Skill)」「人材(Staff)」「スタイル(Style)」「価値観(Shared Value)」からなり、すぐに変更が可能なものがハードの3Sであり、変革に時間を要するものがソフトの4Sとされます。

   一般的に改善策は、ハードの3Sから着手し時間をかけてソフトの4Sにまで変革を及ぼしていくのが常套です。

   私の同期たちが悩む会社に蔓延する目標達成意識の欠如に関する発言を見渡して、これをあてはめてみると、まずやるべきはハードの3Sの整備です。

   具体的には、「システム」にあたる実績に対する評価制度を明確に整備し、頑張った人が報われて、そうでない人は減俸のリスクを負うような仕組みをつくることがスタートでしょう。

   同時に、それをオーナーの勝手にさせず、ルールに則ってしっかりと運用する「組織」運営の整備は不可欠で、併せて納得性の高い「戦略」をつくって目標に対する現実味を経営と社員が共有する必要があるのです。

   これらすぐに変革のできるハードの3Sを、とにかく愚直に続け定着させることが肝要です。その過程で必要な「人材」教育や目標管理「スキル」などのソフトの4S要素を、実践的に付加していき、最終的に目標を達成させる「スタイル」を確立させ、組織としての「価値観」として定着させる、という流れなのではないかと考えました。

   とりあえず時期を見て、本件の言いだしっぺS君の会社を訪ねて、雑談がてらに話してみようと思います。もちろん中小組織が理論どおりには一筋縄でいかないことは、百も承知のうえですが、慣れない組織で苦戦する同期たちのお役に少しでも立てればと思っています。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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