インターネット証券大手のマネックス証券と、現役の将棋名人を撃破した将棋の人工知能(AI)「PONANZA」を開発したHEROZは、外国為替証拠金(FX)取引のAIサービス「トレードカルテFX」(トレカル)を共同で開発。2017年12月11日、両社がそろって東京・六本木で発表説明会を開いた。
サービスの提供開始は、18年1月(予定)から。マネックス証券の「FX PLUS」を利用している個人投資家を対象に、AIがFXのトレーディング技術の向上をサポートする。
取引スタイルを「地図」のように表示
AIサービスの「トレードカルテFX」は、FX取引を頻繁に行う個人投資家の、日々の取引の予習・復習をきっちりこなしたい、取引リズムや取引スタイルを固めたい、他通貨での取引や相場適正を確認したい、相場傾向によらない客観的評価がほしい、といった課題の解決に役立つ。
売買タイミングや、得意・不得意なチャートのパターンなど、投資家が重視するトレーディングの取引要素に着目。過去のトレーディング実績をもとに、収益などの統計情報をHEROZが誇る将棋AIから生まれた「HEROZ Kishin」AIで分析することで、投資家の取引ぶりの傾向や取引スタイルを視覚的に理解できるように導き、個人投資家のトレーディングをサポートする。
マネックス証券とHEROZは、「トレーディングの評価基準」、「トレーディング能力とその向上」、「トレーディングの目標」を改めて考え直し、投資家の取引ぶりを分析することで「取引スタイルの一貫性」をトレーディングの価値基準とした。
その取引スタイルの「定着度合」を、トレーディング能力と向上の評価軸として、投資家の取引ぶりを5つのスタイルに分け、「地図のように表示」(特許出願済み)することで投資家に現状の取引スタイルへの理解を促し、場合によっては別の取引スタイルへ、まるで乗換えアプリを使って電車を乗り継ぐようにスムーズに移行できるようサポートして個々の投資家の目標へと導くという。
すでに「FX PLUS」を利用している個人投資家であれば、AIが過去の取引データ(履歴)を分析して、取引をサポートしてくれる。
マネックス証券の松本大社長は、「AIの活用というと自動売買などをイメージする人が多いと思いますが、この『トレカル』はトレーダーの取引ぶりをフィードバックして、より自分の目標とする取引スタイルを確立してもらうためのツールで、(AIを使った投資アドバイスなどとは異なる)まったく新しいサービスです」と胸を張る。
「私自身のトレーダーとしての思いもあって、AIと人とのコラボレーションにこだわった」と説明。「トレードカルテFX」の活用で、「目標とする取引リズムや取引スタイルを確立したい」との課題解決に向けたサポートができると強調した。