その34 政治家の「発言撤回」「こんなものいらない!?」(岩城元)

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   先月(2017年11月)、加計学園の獣医学部問題を審議した衆院文部科学委員会で、日本維新の会の足立康史衆院議員が他の政党の議員3人の名前を挙げて「犯罪者だと思っています」と述べた。

   まさに「中傷」である。そして、各党から抗議されると、足立議員は「陳謝し撤回したい」とすぐに応じた。足立議員が「犯罪者発言」を悪かったと思うなら、「陳謝」するのは当然である。でも、「撤回」をそう簡単に許してはならない。

  • 夕暮れ時の国会議事堂。憲法は議員の国会内での言動に免責特権を認めているが、かと言って、低劣な発言を許しているわけではない。
    夕暮れ時の国会議事堂。憲法は議員の国会内での言動に免責特権を認めているが、かと言って、低劣な発言を許しているわけではない。
  • 夕暮れ時の国会議事堂。憲法は議員の国会内での言動に免責特権を認めているが、かと言って、低劣な発言を許しているわけではない。

多すぎる! 政治家の不適切発言

   「綸言(りんげん)汗の如し」という言葉がある。「綸言」は「君主の言葉」を指し、君主がいったん口にしたことは、体から出た汗と同じで、元には戻せない。つまり、取り消したりはできない、という意味だ。中国の格言である。

   足立議員を君主並みに扱うつもりはないが、一応は国政を預かる国会議員である。発言の撤回を許し、国会の議事録からも削除してしまえば、発言はなかったことになってしまう。そんな安易なことでいいのだろうか。

   足立議員の発言のすぐあと、今度は自民党の山本幸三衆院議員が、アフリカ各国との交流に熱心な同僚議員について「何であんな黒いのがすきなのか」と発言した。差別的な発言だと批判を浴びると、「表現が誤解を招くということであれば」と、すぐに撤回してしまった。

   山本議員は地方創生相だった今年(2017年)4月にも、観光振興に文化財を活用することについて「一番のガンは文化学芸員だ。観光マインドが全くない。この連中を一掃しないといけない」と述べたが、批判を浴びると、すぐに撤回して、おわびしている。

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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