アカデミーを通じて、インパクト投資への理解深める
―― 日本で新しいファンドを立ち上げるという予定はありますか。
ピーター・ファンコーニ氏「私たちの取り組みについて興味を持っていただいている投資家は多くいます。そういった投資家には、既存のファンドに投資していただくか、新しいファンドを立ち上げて投資してもらうかですので、新しいファンドの立ち上げも構想にあります。
移民問題や気候変動などによって、貧しい人々の融資ニーズはたくさんありますので、私たちもより多くの資金を募りたいという思いはあります。そのためには、欧米や日本のような先進国の皆さんに、マイクロファイナンス・ファンドが社会問題の支援もでき、リターンも狙えるといった点についてもっと理解していただきたいと思っています」
―― 今後、注力する取り組みにはどのようなことがありますか。
ピーター・ファンコーニ氏「私たちの使命は、投資家の皆さんや国民の皆さんに、マイクロファイナンスとは何か、マイクロファイナンスの影響は何かについて、もっと知っていただくことだと思っています。マイクロファイナンスの仕組みを、より公にして透明性を高めることができれば、あとは皆さん自身でどう行動するかを決めることができます。
当社が、現在力をいれている取り組みとしては、人々がマイクロファイナンスやインパクト投資について学んでいただける『ブルーオーチャード・アカデミー』があります。若い世代の中には、マイクロファイナンスやインパクト投資に興味を抱く人々も多くなってきています。アカデミーは、学生や学術研究者、インパクト投資分野に関することを学びたい人々が、専門知識を学び、その後のリサーチや仕事などで活かしていくことを目的としています。私たちがフォーラムやイベント、講演会などに参加させていただきながら、大学などの教育機関や調査会社などとも協力して、専門知識を共有していきたいと思っています。また、調査やインターンシップなどの機会も提供していきます」
(インタビュー 戸川明美 2017年11月16日)
【プロフィール】
ピーター・ファンコーニ氏
ブルーオーチャード・ファイナンス会長。プライスウォーターハウスクーパース(PwC)などを経て、Harcourt InvestmentCEO、ヴェオントベル・プライベート・バンクCEOを経験し、現職。現在、スイスにおけるドイツ銀行副会長、Graub?ndner Kantonalbank(GKB)会長、ROKPA International Foundation社長を兼任。