税制優遇を活用しよう
さらに、投資の「大原則」があります。それは、どんな金融商品でも「税制優遇」を有効に使う。これが鉄則です。たとえば、「NISA」や「iDeCo」がそれです。通常であれば、投資商品で利益を得れば、その分に税金がかかります。その税金がかからないのですから、大きなメリットになるわけです。
「NISA=少額投資非課税制度」は2014年1月にスタートしました。すでにご承知の方々も多いと思いますが、NISAは「株や投資信託などの運用益や配当金を一定額非課税にする制度です。NISA口座は20歳以上であれば、誰でもつくれます。
2016年1月からは、「毎年120万円まで」の非課税投資枠が設定され、投資金額120万円分までの株式投資や投資信託にかかる値上がり益や配当金(分配金)が非課税となりました。2018年には「つみたてNISA」もはじまり、商品が選べて、使い勝手もよくなっています。
一方、「iDeCo=個人型確定拠出年金」は、加入者が月々の掛金を拠出(積立)し、あらかじめ用意された金融商品で運用し続けることで、60歳以降に年金または一時金で受け取れる仕組みです。これを使えば、老後の備え、「自分年金」が充実することでしょう。
メリットは、所得税を払っている人であれば、住民税と合わせた税負担が軽減されます。転職時にポータビリティがあるのも、便利。いまや一生涯を同じ職場で働く人は少なくなっています。転職してもしっかり続けられるので、無理なく貯めることができます。ただし、60歳になるまで引き出すことができません。
こうした制度を上手に使い分けることで、「オトク」に殖やせるというわけです。
そして、最後に一言。これが極意です! 変動商品の投資のコツは、「買っても、売っても、忘れる」ことです。毎日の値動きに、一喜一憂していては、仕事にも身が入りません。「売るべし、買うべし、休むべし」という投資の格言がありますが、まさにその通り。「忘れるべし」なのです。これが変動商品の投資の極意といえます。(出口治明)