無意識に陥るセクショナリズム! 部門「独立性」の裏側にあるもの(大関暁夫)

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「独立性の弊害」の具体的な予防策

   具体的には、

   各部長と1対1で定期的に面談して、業界の変革とその対応について各人がどのような見解をもっているのかについて、関心を持って聞く。

   理想の組織やトップマネジメント・チームのあり方などについて、社長の考えを幹部会議やフリートークの場などを設けて、継続的に発信する。

   激しく変化する業界の流れを踏まえた中期経営計画の検討・策定を目的とした部長プロジェクトを発足させ、共同で取り組ませる。

   H社長の発案による新プロジェクトは順調にすすんで、半年後には事業の変革に向けた部長方の意識や行動は徐々に変化を見せてきたと言います。

「部長たちが他のメンバーと協力して、会社としての事業の成長に向けて取り組んでいる姿が感じられるようになり、本当に良かったと思っています。私はこれまで単純に各部門長に独立性と責任をセットで持たせさえすれば、幹部社員の自立心と競争心を育て最終的に組織の効率運営と成長につながるものと思っていました。しかし独立性の弊害に先回りして手を打たないと、独立性組織は容易にセクショナリズムに陥り、上下左右のコミュニケーションが激減し部門がブラックボックス化して、保身の塊になりやすいのだということがよく分かりました」

   不祥事続きの日本を代表する大企業の経営者の皆さんにも、ぜひとも聞かせてさしあげたい「独立性の弊害」予防のお話ではないでしょうか。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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