企業で「ダイバーシティー(多様性)」を重視する動きが広がっている。
フェイスブックジャパンは2017年11月22日に開いたワークショップ「Facebookが考えるDiversity #techpoweredbywomen workshop」で、同社のダイバーシティーへの向き合い方と、日本での具体的な取り組みを説明した。世界最大のSNSを運営する企業での「働き方」とは、どのようなものか――。
多様な人の意見を取り入れるのは「必須」
世界で毎月20億人が使用している「フェイスブック」。フェイスブックジャパン代表取締役の長谷川晋氏は、これからも多様なユーザーに利用してもらううえで、会社としても今後つくるサービスや製品、組織運営を考えた場合に「多様な人を採用していろいろな意見を取り入れ、決断をしていく。我々にとっては『こうなったらいいね』ではなく、必須だと考えています」と話す。
ダイバーシティーとは、年齢や性別をはじめ、国籍や人種、言語の違う人たちが同じ職場で、多様な価値観をお互いに学び、尊重し合う姿勢をいう。
同社では、男女3人ずつの社員による「ダイバーシティー&インクルージョン」チームを結成。社内で多様性を推進するうえでの核と位置付ける。
具体的な取り組みは、男性社員への育児休暇取得の推奨、優秀な女性採用の促進、職場環境や設備面でのサポート、イベントの開催とさまざま。
なかでも、長谷川氏が「特に力を入れている」と紹介したのが、「マネージングバイアストレーニング」。たいていの人は、年齢や性別や国籍で人を差別しているとは思っていない。だが実際はこうした違いが、気づかないうちに自分の判断に影響を及ぼしていると指摘する。
トレーニングでは、自分で認識していないバイアスと向き合うことになる。
人が自然に集まり、会話を交わせるオフィスデザイン
職場環境の整備にも注力している。
柱は3つ。1つ目は意見を出し合える場、「オープン&イノベーティブ」の提供だ。ソファーやカフェスペースをつくって、人が自然に集まって会話を交わせるオフィスデザインにした。
2つ目は「プロフェッショナル&パーソナルサクセス」。社員一人ひとりに「仕事だけでなく個人としても輝いて欲しい」との考えから、たとえばスマートフォンやメッセンジャーで仕事ができる、いつでも海外と高品質なビデオ会議ができるといった、技術を活用して効率性や生産性を高めている。シャワー室を設け、個人の健康や快適さにも配慮した。
そして3つ目が「ダイバーシティー&インクルージョン」。幼い子を育てる社員のため、社内に「マザーズルーム」を設置した。授乳できるスペースもある。
シェリル・サンドバーグCOOが女性社員を激励
女性の活躍・働きやすさにも力を注ぐ。
フェイスブックでは、女性の社会進出やキャリア開発を支援する「Women@」というプロジェクトを進めている。
日本では社員向けに、子どもの誕生から1歳になるまでの間、男女問わず4か月間の有給育児休暇が与えられてはいるものの、現実的にはその制度の利用はなかなか進まない。
そこで、このプロジェクトではまず、育休の必要性の理解を浸透させるため、育休取得者の体験談を聞く機会を設けた。 休暇取得に当たって上司とどんな話をしたか、自分が持っていた業務をいかに同僚に代わってもらったかを情報共有し、「どうすれば育休を取れるか」議論をした。
育休以外にも、子どもの授業参観出席や、子どもの体調不良で会社に行けないといったケースで、各自が働きやすい環境をいかに実現するかを考える。
さらに、「Women@」は年に1度、アジア太平洋地域全体でイベントを実施。フェイスブックに勤務する、域内の全女性社員に加えて、男性社員も参加して「どうすればダイバーシティーをさらに推進できるか」を共に考える。
2017年は、米フェイスブック最高執行責任者(COO)のシェリル・サンドバーグ氏も出席。女性たちに向けて、「各自がスキルを磨いていかないと、仕事のやりがいは手にできない。能力を向上させ、チャレンジしていこう」とのメッセージを送った。