医薬品は「化学」 まだ上がる! 日本触媒が狙い目なワケとは?(石井治彦)

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   バブル期を彷彿とさせる高騰だ。2017年12月1日には前日の米ニューヨークの株高を反映。日経平均株価は一時、1989年につけた史上最高値(3万8915円)からバブル崩壊後の最安値(2009年の7054円)までの下げ幅の「半値戻し」となる2万2985円を再び上回り、2万2994円31銭の高値をつけた。

   ボーナス時期を迎えたが、ここまで上昇すると株式を買うタイミングを逸したと思っているサラリーマン投資家は多いのではないだろうか。将来性豊かで、さらに株価上昇が見込める企業を発掘するのはなかなか難しい。

   ただ、そこは気を取り直して、改めて医薬品まわりを物色してみた。すると......

  • 買いどきをさぐる……(画像は、日本触媒のホームページ)
    買いどきをさぐる……(画像は、日本触媒のホームページ)
  • 買いどきをさぐる……(画像は、日本触媒のホームページ)

「紙おむつ」が頭から離れない!

   化学メーカーが、医薬品の開発に乗り出している。2017年9月25日付の日本経済新聞は「住友化学、新型バイオ薬」の見出しで、住友化学が次世代のバイオ医薬品として注目される「核酸医薬品」の開発に参入する、と報じていた。

   これまで、あまり意識していなかったが、化学技術が医薬品開発のベースになっていることはたしか。「医薬品=化学メーカー」がつながった。

   記事中には、核酸医薬は化学メーカーの参入が相次ぐとの記述があり、そこに日本触媒が東大発ベンチャーなどに出資して、製造受託に参入するらしいとあった。これが目にとまった。

   日本触媒は、触媒にはじまり、現在は紙おむつなどに使われる高吸水性樹脂と、その原料であるアクリル酸における、世界トップクラスの化学メーカーとされる。

   ホームページの会社案内によると、セグメント別売上高比率(2016年度)は、基礎化学品が37%。機能性化学品54%、環境・触媒9%と続く。製品の用途例でみると、紙おむつ(高吸収性樹脂)、医療洗剤(酸化エチレン、エタノールアミン、高級アルコールエトキシレート)、フラットパネルディスプレイ(光学材料用アクリル樹脂、カラーフィルター用レジスト樹脂)、燃料電池用部材(SOFC用電解シート)とあった。

   紙おむつの原料であるアクリル酸の川下製品には、「高吸水性樹脂のほか塗料や粘接着材に使われるアクリル酸エステルなどがあり、社内外に安定した需要があるため高い設備稼働率を維持しています」とも記述している。

   紙おむつというと乳幼児向けと思われるが、現在の少子高齢化の日本では高齢者用としてまだまだニーズが見込める。紙おむつのほかにも、燃料電池用部材や核酸医薬への参入などは、有望な分野といえそうだ。

   とはいえ、見出しにあった住友化学よりも、日本触媒が気になったのには、「紙おむつ」のことが頭の片隅にあったからかもしれない。

「核酸医薬」ってなんだ?

   一方、記事にあった「核酸医薬」は、バイオテクノロジーを使った医薬品の一種で、化学合成でつくったDNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)といった遺伝子情報を司る物質「核酸」を、医薬品として利用するのが特徴とされる。

   核酸医薬は、化学合成なので製造のコストが下げられるため、患者の経済的負担を抑えられる可能性もあり、その市場規模は2020年ごろに5000億円になるとの予測がある。

   さらに、2017年10月2日付の日本経済新聞には、「バイオ薬 原料量産」の見出しで、「日本触媒は2019年に大阪府吹田市にバイオ医薬品の原料を量産する施設を設ける」とあった。出資先の新興企業と協力して核酸医薬などの実用化につなげ、グループでバイオ医薬品の開発から生産までできる体制を整えて医薬品事業を伸ばす。

   バイオ医薬品は、細胞培養や遺伝子組み換えといったバイオ技術を使い、タンパク質や生物由来の物質を原料にしてつくる。日本触媒が出資する企業が、こうした原料の「生産技術の確立を目指す」というのだ。

「化学」は成長セクターだ!

   日本経済新聞(2017年10月5日付)の「10~12月産業天気図」では、景況感が4業種で改善とあり、「化学」も世界需要を背景に、エチレン設備のフル稼働状態が2年近く続き「薄日」から「晴れ」に改善すると伝えている。

   また、会社四季報の「業界地図2018年版」によると、「化学工業の国内年間出荷額は20.5兆円(2014年、日本化学工業会)にも及び、自動車産業に次ぐ位置にある。総合化学メーカーは近年、伝統的な石油化学事業の上流基幹設備あるエチレンプラントの能力削減を進めてきた。「化学」セクター自体もなお、成長が期待できることがうかがえる。

   そうなれば、狙わない理由はない。

   日本触媒の株価は、2016年5月に5500円辺りまで下げており、最近では2017年5月に6600円の安値がある。10月27日には年初来高値の8850円をつけたが、そのあと調整色を強めているもよう。現在の株価は8000円近辺にあるが、2017年の安値にあたる6600円あたりまで下げることがあれば買いどきではないかと考えている。

   現在100株で80万円弱。70万以下ならば保有株を売って、入れ替えてみようかとも思う。

2017年12月1日現在   保有ゼロ
年初来高値 2017/10/27 8850円
年初来安値 2017/ 5/30 6610円
直近 終値 2017/12/01 7900円

石井治彦(いしい・はるひこ)
   1970(昭和45)年に大学卒業後、自動車大手に勤務。リース販売を手がける。投資歴は実質25年。入社後にユーザーと接するなかで得た情報と自分の知識で、最初のボーナスをもとに株式運用を開始。しかし、78~98年の20年間は投資する余裕がなく、休止に。それが幸いしてバブル崩壊の痛手は軽傷だった。ただ、いつでも動けるよう、日本経済新聞をはじめ経済誌などには目を通していた。
   「現物株式取引」と「長期投資」が基本姿勢。2011年の退職後は少しの小遣い稼ぎと、興味をもって経済誌を読むために株式を保有している。現在、14の銘柄で、1万3800株を運用。東京都出身、69歳。
姉妹サイト