社員の流動化が、真のグローバル化への一歩
さらに、企業のグローバル化もこの流れを後押ししている。
当たり前だが、他国の人材は就職を「一企業と一心同体の運命共同体に参加する行為」などとは夢にも思っていないから、秘密の共有サークルに誘われても首を縦にふることはないだろう。
ちなみに、2011年にオリンパスの過去の企業買収に伴う損失隠し問題を告発したのは、当時の経営トップであるイギリス人社長だった。
とはいえ、筆者はこうした過去の不祥事の累積が露見するのは、素晴らしいことだと前向きに評価している。
それは労働市場が緩やかに流動化し、組織が本当の意味でのグローバル企業に生まれ変わるきっかけとなりうるからだ。
社内で英語を公用語化したり、外国籍の幹部をヘッドハンティングしたりするよりも、「社員の誰がいつライバル企業に転職してもおかしくないという前提に立って業務プロセスやコンプライアンスを見直すこと」のほうが、グローバル企業への有効な近道だというのが筆者のスタンスだ。(城繁幸)