ソーシャルレンディングの市場規模が急拡大している。
ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)は、「資産を運用したい投資家」(貸し手=レンダー)と「資金を必要とする企業」(借り手=ボロワー)をマッチングさせるサービスで、欧米でインターネットを利用した個人間融資のモデルとして立ち上がった。
平均利回り8%台で推移
ソーシャルレンディング比較サービス「クラウドポート」の調査(2017年10月31日発表)によると、ソーシャルレンディング市場規模は2017年度もさらに急成長を続け、今後のさらなる市場拡大が期待されるという。
日本のソーシャルレンディングは、個人投資家から集めた小口の資金を大口化して、借り手企業に融資するという「法人融資」のかたちとして広がっている。法人融資では、不動産に係わる中小事業者や何らかの事業資金を調達するものが多いという。
市場規模は、2008年から少しずつ増え、13年頃から成長の勢いを増している。2014年は143億円、15年が310億円、16年は533億円と右肩上がり。その成長率は、2014年から15年にかけて2.1倍、15年から16年では1.7倍と、およそ2倍のペースで拡大し続けている。
この勢いは2017年になっても衰えておらず、6月単月の市場規模(124億円)は過去最高を記録したという。
市場規模拡大とともに、参入する運営会社(ソーシャルレディング事業者)も増加。2014年には6社しかなかった事業者も、15年には10社、16年には20社と、中小事業者も含め多くが参入。17年9月時点には23社に増加した。
参入事業者数が増えることで、平均利回りも高まっている。新規参入の事業者は投資家獲得のため、初期には自社の利益を少なくしても投資家が登録することを促す傾向がある。なかにはキャッシュバックキャンペーンを実施する企業もあり、こうしたことから、平均利回りが向上しているとみられる。
2016年9月の平均利回りは7.72%だったが、17年1月には8.42%。5月には一時7.87%に落ちたが、その後は6月に8.07%、7月8.29%、8月は8.52%と8%台で推移している。
投資にはリスクがある! 「実験のつもり」で......
こうした市場拡大に伴い、ソーシャルレンディングに投資する人も増加傾向にある。2017年も、もうすぐ冬のボーナスシーズンが到来するが、銀行に預けても金利は限りなくゼロに近い。ソーシャルレンディングも、株式や外国為替証拠金(FX)取引のような、投資手段の一つとして注目されはじめたようだ。
投資家にとっては「一口数万円程度の小口から投資できる」「利回りが高い」「金融知識による投資成績の差がつきにくい」といったメリットがある。
ツイッターでは、実際にソーシャルレンディングをはじめている人がいるようで、プロブロガーのイケダハヤト氏は、
「攻めるためには守りもしっかり。わが家は、
・確定拠出年金
・毎月30?40万の積立投資
・ソーシャルレンディング投資
・小規模企業共済
・経営セーフティ共済
・少額掛け捨ての生命保険
・家賃3万の山奥の家に住んで節約
なんて感じでお金の不安に備えてます」
とツイート。
ほかにも、
「今月の分配金は?90,002で好調。もはや収入源と言っていいほど育ってきてうれしいな」
「8月から始めたソーシャルレンディング、お金にお金を稼いでもらう楽さを実感している。引き続き小銭を稼いでいきたい」
「ソーシャルレンディング投資の素晴らしい点は、安定性もそうだが、投資後は一切気にしなくて良い点」
といった、景気のいい言葉が並んだ。
ただ、その一方で、
「銀行から借金できないような信用の低い会社が、資金調達の手段に『ソーシャルレンディング』を使おうとしている。投資家はよほど案件を精査しないと極めて危険」
「ファンド情報少なくて、それぞれの違いがわからない。危険性は感じつつも実験のつもりで増やすしかないかも」
などと慎重な意見も見つかった。
たしかに、投資にリスクは付きものだ。そんなにオイシイ話ばかりではないかもしれない。(KM)