銀行のカードローン返済に苦しむ消費者の急増を受けて、日本弁護士連合会(日弁連)は2017年8月1日、電話相談を実施。11月22日に、その結果を公表した。
相談件数は351にのぼり、「元本が減らない」「消費者金融で借り換えを勧められた」といった実態が明らかとなった。
年収の8割以上を借りた人も
銀行にとって、カードローンは魅力的な市場だ。消費者金融などの貸金業者とは異なり、利用者の借り入れを年収の3分の1までに制限する「総量規制」が適用されないことがある。
それらを背景に、銀行のカードローンの貸出残高は2017年3月末時点で5兆4377億円となり、最近の5年間で1.6倍に急伸している。
その一方で、過剰融資による自己破産や多重債務者の増加も問題となっている。日弁連に寄せられた相談のうち、年収における債務額の割合を見ると、年収の3分の1未満の利用者は半数に満たず(48.1%)、年収の3分の1以上、50%未満が2割で、年収の80%以上という利用者も1割いた。
具体的な相談内容では、「利息が高い、過払いではないか」という指摘が28件、利息の高さやリボルビング取引のため「払っても元本が減らない」との旨が21件あった。
そのほか、「銀行の担当者から、銀行カードローンについて、消費者金融で借り換えをするよう勧められた」といった声も寄せられた。
こうした指摘を受けて、全国銀行協会が10月3日~20日に、カードローンを取り扱う123行を対象に実施した調査によると、銀行側も広告の自粛や審査態勢の厳格化などの対策に乗り出しているものの、約4割の銀行がカードローンの推進を支店の業績評価に加え、また31行が個人の業績評価にも取り入れていたことがわかった。
消費者の計画的な利用はもちろん、銀行のさらなる対策が求められる。