「同じ」でいいんだ! 目からウロコ 外国人労働者のヤル気引き出し術(大関暁夫)

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ダイバーシティ実現の「肝」はココ!

   そうであれば、そのお悩みは同じ海外赴任の先輩格の方々に聞いてみるのが一番と考えたMさん。毎月開催されている地元の日本法人会の集まりで、「ローカルとの融合策とダイバーシティ実現」というテーマでアンケート調査の実施を呼びかけ、さっそく実行に移しました。

   そして、その調査でMさんが一番知りたかった「あなたまたは御社で実行したローカルスタッフのモチベーションを上げるための試みで、特に効果があったと思われることはなんですか」という質問への主な回答は、以下のようなものでした。

・ 「どんなに小さなことであっても、ローカルスタッフが新しいことにチャレンジしようという兆しがあるときには、精一杯の応援を態度で示している」
・ 「仕事が終わったら、必ず『今日はどうだったかい』という声がけを心がけつつ、『ありがとう』という感謝の気持ちをこまめに伝えている」
・ 「ローカルとの会話の量を増やし、仕事だけでなく家庭や趣味の話なども聞いてあげる。次に話す時に、その後の変化について質問できるよう聞いた話はしっかり記憶する」
・ 「誰でも困っていそうだなと思ったら、まっさきに声をかけ話を聞くようにしている」
・ 「『あなたは会社にとって重要な、コアな役割を担っている』」と言うメッセージを頻繁に投げかけている」

   これらの回答を見てMさんは、あることに気がついたといいます。

「アンケートを実施して、実際にローカルスタッフ活性化に効果のあった策を聞いてみると、なんのことはない国内でも至ってありふれたスタッフ指導だったのです。
要するに外国人だからって、変わった扱いが必要なんだとか、特別な策を講じなければとかを考える必要はないということ。女性の活躍促進も、新感覚の若手世代の活性化も、考えてみれば同じことかなと。ダイバーシティってそうなのか、と目からウロコが落ちる思いでした」

   リーダーとして誰に対しても同じように接し、同じように支援する。言われてみれば当たり前のことなのですが、Mさんのローカルスタッフの活性化話に、私もダイバーシティ実現の「肝」を再認識させていただきました。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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