怒られ過ぎてノイローゼになる
課員のみんなは完全にやる気をなくしてしまった。目は死んでしまっている。
若い課員なんかは怒られ過ぎて、ノイローゼ寸前。
私は、課長の次のポスト。いわゆる次席。課長の立場にたったり、課員の立場にたったり、毎日悩むことが多かった。
課の成績は落ちる一方だ。課長は、ただ怒鳴るだけ。私は本当に悩んだ。
ある夜、狭い社宅で家族三人、子供を真ん中にして川の字になって眠っていた。
夢の中で課長と言い争いをし始めた。
「課長、あなたのやり方ではダメです」
私は、思い切り机を叩いた。その時、「はっ」と思って目が覚めた。私は、恐ろしさに心臓が止まるかと思った。冷や汗がどっと出た。からだに震えが来て、止まらない。
私の拳の下に、幼い息子の寝顔があったのだ。すやすやと幸せそうな微笑を浮かべていた。もし机を叩くつもりで拳を振り下ろしていたら、息子の顔を潰していたかもしれない。
私は、その夜、まんじりともせず考えた。そしてこのままだと自分が壊れると思い、決断した。
翌日の仕事終わりに、明かりを消した食堂の片隅に課長を呼び出した。
課長は、いったいどうしたのだと不安げな様子で私の前に座った。
私は課長を正面から見据えて「あなたは私の人事評価をする人です。ですから私は覚悟を決めて申し上げます。課長も覚悟をして聞いてください」と言った。