企業の人手不足がますます深刻化している。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2017年10月)」によると、正社員が不足している企業は49.1%と5割近くに達した。11月22日に発表した。3か月前(17年7月)から3.7ポイントの増加で、前年同月と比べると、7.3ポイントも増えた。
2006年5月の調査開始以降で、過去最高を更新した。
メンテナンスや運輸は正社員、非正社員ともに不足
正社員が不足している企業を業種別にみると、「情報サービス」が70.9%と7割を超えた。「メンテナンス・警備・検査」や「運輸・倉庫」「建設」などの6業種が6割台だった。 正社員が不足している企業が60%以上の業種は3か月前から増加。企業の人手不足感は一段と深刻度を増している。
規模別では、大企業の56.4%が正社員の人手不足を感じている。そうした中で、大企業の積極的な採用活動が、中小企業の人材確保、維持に大きな影響を与える要因となっている。正社員の不足感は、小規模な企業でも4割以上が不足と感じている。
一方、非正社員では、企業の31.9%が不足していると感じている。3か月前と比べて2.5ポイントの増加。前年同月比で4.7ポイントも増えている。
業種別でみると、「飲食店」の8割超が人手不足を感じていた。さらに、「飲食料品小売」が6割を超えたほか、「人材派遣・紹介」や「メンテナンス・警備・検査」、百貨店やスーパー、コンビニエンスストアなどを含む「各種商品小売」など5業種で5割を超えており、上位10業種中5業種が小売業や個人向けのサービス業だった。
なかでも、「メンテナンス・警備・検査」と「運輸・倉庫」の2業種は、正社員と非正社員の両方で上位にあがっており、雇用形態にかかわらず人手不足が深刻化している様子がうかがえる。
人手不足倒産が増加傾向を示すなか、帝国データバンクは、「政府は働き方改革を進めるなかで経済の好循環を強化することで、中小企業の収益改善へとつながる政策が重要性を増している」と指摘している。
調査は2017年10月18日~31日に、全国2万3235社を対象に実施。有効回答率は回答率44.0%だった。