また、製品データの改ざんだ。三菱マテリアルは、子会社の三菱電線工業と三菱伸銅が過去に検査記録データを不正に書き換え、顧客の定める規格や社内の仕様を満たさない不適合品を出荷していたことを、2017年11月23日発表した。
三菱マテリアルは10月30日付で対策本部を設置して対応を開始。また23日の発表時点では、法令違反行為や安全性の問題は確認されていないとしている。
ゴム素材の「パッキン」 航空機や自動車などで使用
三菱電線工業では2017年2月に不正が発覚。3月に経営陣に報告後、5月から社内の調査チームで事実関係の確認や不適合品の特定などを進めたが、製品数が多かったため状況の把握には時間を要したという。出荷停止は10月23日、親会社の三菱マテリアルへの報告は10月25日になった。
調査の結果、15年4月1日から17年9月30日までの2年半に出荷したシール材約13億3000万個のうち、約2億7000万個(約68億円分)が不適合品である可能性があるという。
品質データの改ざんが行われていたのは、主にゴムを素材としたパッキンと呼ばれるシール材で、液体・気体の漏出を防ぐために航空機や産業機械、自動車など、さまざまな工業製品に使用されている。
一方、三菱伸銅は2017年10月10日から社内調査を実施したところ、10月16日に自動車などに使われる製品で不適合品が出荷されていたことがわかり、18日に出荷を停止、19日に三菱マテリアルに報告した。
不適合品の疑いがあるのは、16年10月18日から17年10月17日までに出荷された製品14万3435トンのうち879トン(6億7000万円分)で、その9割以上は「黄銅条」との確認が取れたという。
三菱マテリアルは17年12月1日付で、グループの品質管理の部署を「部」に昇格させ、機能と人員を拡充させる予定。今後は対策本部と専門部署を中心に、品質管理や内部監査などの体制の再構築を行うとしている。