保険は、多くの人が一部の人を支える仕組み
以上のことからわかるように、生命保険に「貯蓄機能がある」というのは、「単なる金利の機能」に過ぎません。
保険商品の本来の機能は、「保障」です。たとえば死亡保険では、自分が納めた保険料は自身が死ぬまで使われることはありません。その代わり、ほかの誰かが死んだときに、その保険料が使われるのです。
では、ご自身が死亡したときはどうなるのか――。それはあなた以外の誰かが納めた保険料が充当されるのです。
つまり、多くの人が一部の人を支える「相互扶助」の仕組み、それが保険なのです。だから保険には高いレバレッジが働くのです。
そのことが理解できれば、保険商品に貯蓄性はあまり重要ではないことがわかるはずです。特にゼロ金利やマイナス金利のもとではそうです。結論をいえば、保険商品は本来、「掛け捨て」なのです。そのほうが、毎月の保険料を抑えられます。
(出口治明)