社長は「自分の無知を自覚すること」からはじめよ!
そうだとしたら、経営者はどのような意識をもって社員と接し、A、B、C領域のバランスをとったら良いのでしょうか。これに関してNさんが提示したヒントは、「無知の知」でした。
ご存じ「『知らない』ということを自覚することが真理に至る最善の道である」とする、ギリシアの哲学者ソクラテスの考え方です。
「経営者が自分の無知をさらけ出すことはプライドが許さないという側面があろうことは否定しませんが、あえて経営者が自身は万能ではなく、自分の無知を自覚することが会社も経営者としての自分も成長するために必要なことなのだ、と理解してほしいわけなのです。
特に社員が知っていて自分が知らないことが存在することを認識し、それを知りたいと思うことがバランスのとれた組織内コミュニケーションをつくり、最終的には社員の成長や企業の発展につながるのです」
なんとも目から鱗のお話でした。
「うちの社員は意識が低い」と、Aの「社長も社員も知っていること」の領域の小ささをお嘆きの中小企業経営者は世に多いのですが、まずはC領域の「社員は知っているが社長は知らないこと」の存在を意識し、それを知ろうとすることから始めてみるのがいいのかもしれない、と思った次第です。(大関暁夫)