シートカバーのリースで月2000万円を売り上げ
そもそも、東京のタクシーに布製のシートカバーが導入されたのは、浅草で布団商を営んでいたフクシン(1911年創業)が、1979年にタクシーのシートカバーリース業に参入したことに始まる。
それまで、東京近辺では企業広告付きのビニール製のシートカバーが主流だったが、あるタクシー会社から、当時大阪ですでに導入されていた布製のシートカバーと同様のものを作製できないかと打診されたことを機に、フクシンがビニール製のシートに代えて布製のシートカバーを導入。徐々に現在のリース方式の布製シートへと形を変えて、タクシー会社に提供するようになった。
現在、フクシンは東京の大手タクシー会社4社をはじめとした取引先に有し、「都内でのシートカバーのシェアは5割弱ほど」を占めるという。
フクシンは、タクシーのシートカバーを1台につき3セット用意し、毎週交換している。タクシー1台につきシートカバーのリース料が決められており、「シートカバーリースによる同社の売り上げは、月間2000万円、年間で2億5000万円弱となっている」という。
フクシンは現在、タクシーのシートカバーのほか、個人向けにはふとんのレンタルやクリーニング、法人向けには店舗や事業所の清掃やクリーニングなどを手がけており、タクシー向けシートの売り上げの割合は全体の約3割を占めている。
トヨタの次世代タクシーの導入は、東京を拠点とする大手タクシー会社から始まり、徐々に地方にも広がる見通し。全国ハイヤー・タクシー連合会の川鍋一朗会長(日本交通会長)は、「東京オリンピックまでに都内で3台に1台、約1万台を次世代タクシーに変え、オリンピックのロゴも入れたい」と話す。
次世代タクシーの普及にともない、新しいシートカバーがお目見えする日は近そうだ。(戸川明美)