人材「囲い込み」時代 企業がSNSを遠ざけるワケを言おう! (高城幸司)

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   あなたの知名度が上がる行動に対して、会社が規制をかけてきたら...... 囲い込まれている可能性が高いと思ってください。

   囲い込みとは? 外へ出ないよう囲いの中に入れること。なかに取り込むこと。あるいは他者に取られないよう確保すること。人材業界では社員の流動化を避けたいときによくつかわれる言葉です。

  • できる人材を囲い込め!
    できる人材を囲い込め!
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露出が増えれば、企業は接近しやすくなる

   現在のように求人倍率が高い人材不足の時代には「人材を抱え込む戦略が重要である」との認識が高まるので、あちらこちらで発せられる言葉ではないでしょうか?

   今回のテーマは中堅の優秀な社員に対する抱え込みについて。たとえば、採用ホームページで頻繁に登場していたDさんに人事部から声がかからなくなった。社外の人材との交流の機会によく参加の依頼があったのに、なくなった。

   筆者も同じような経験があります。20代の前半はビジネス誌の取材依頼が広報経由でよくありました。ところが、管理職手前になるとパタリとなくなりました。ちなみに取材を受けた記事が掲載されると、頻繁にヘッドハント会社からの問い合わせが来ました。

   生命保険会社もあれば、ベンチャー企業もありましたが、かなりの数の会社から電話がかかってきたと記憶しています。

   人材を探している企業や専門会社からすれば、メディアをチェックしていて、「注目の若手社員」と紹介されている優秀な人物がいたら、それは人材としてぜひ欲しいと思うのは当然のこと。会社推薦で優秀な社員がわかる情報ですからヘッドハントする側にとって格好のターゲットになるというわけです。

   そこで社歴が重なり会社として重要度が高まると、会社側が「囲い込み」に入るのです。

「FBやめて!」 それはアナタが「優秀な社員」だからです

   そのためでしょう。最近は、優秀な若手社員も知名度が上がる取材を避ける傾向が出てきています。とはいえ、今はネットの時代。いくら会社が隠しても、個人で情報を発信する人が出てきます。個人がソーシャルメディアをやるということは、すなわち「直接連絡してもいいですよ」ということを意味します。

   会社としては、優秀な社員には「絶対にソーシャルメディアをやらせたくない」と思うのも無理もないことで、大企業の社員は社内の情報漏えいを避けるという意味でも、フェイスブックをはじめとしたソーシャルメディアを個人でやらないよう、通達されていることがあります。

   特に優秀な若手社員に限っては、「絶対にやるな」と厳しく言われていることも多いわけです。ソーシャルメディアを使っている優秀な人には、ピンポイントでスカウトメールが来るからです。当然ながら、そういった社員にはメディア取材も受けさせません。外に出ないように、徹底的に囲われているのです。

   先日、ある異業種交流の勉強会で、大手企業の「優秀な社員」を紹介されたのですが、紛れもなく「優秀」な人だったので、後でその人のことをネットで調べてみました。

   すると、いまだにフェイスブックもやっていません。おそらく所属する会社が、やらせていないのでしょう。ネットで情報を発信しようものなら、いろいろなところから直接スカウトされるのは目に見えています。かつ、メディアの取材も受けていない。それほど「優秀」な人なのに、ネットで調べても情報が全然出てこないのです。

   もし、あなたが会社から「ソーシャルメディアの使用禁止」を厳しく言われているとしたら、それは「優秀な社員」として会社に囲い込まれている証と認識してください。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
株式会社セレブレイン
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