合意によって時効の完成を止められる!~時効の更新と完成猶予~(第3回)

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1.時効の更新と完成猶予

現行の民法では、時効の完成を防ぐものとして、「中断」と「停止」の規律を設けています(民法147条から161条まで)。時効の中断は、ある事由が生じた時に時効の進行が止まると同時に、その時から新たに時効の進行が始まること、時効の停止は、ある事由が生じた時から6か月経過する時までは時効が完成しないことをいいます。

改正民法では、用語が変更され、時効の「中断」という用語は時効の「更新」に変更されます。また、時効の「停止」という用語も「完成猶予」に変更されます。これらは用語だけの問題であり、実質的な内容は変わりません。では、なぜ用語が修正されるのでしょうか。

現行の民法における時効の中断は、上述したとおり、①その後に時効が完成すべき時が到来しても一時的に時効の完成が猶予されるという効果(完成猶予)と、②時効の期間が一旦振出しに戻って、新たに時効期間が進行するという効果(更新)という二つの効果を持ちます。しかし、民法を詳しく知らない人が「中断」という言葉から②の効果(リセットする効果)をイメージすることは難しい(一般的な語感からは、「停止」のほうが②の効果を想像するかもしれません。)という問題点がありました。また、たとえば債務者が権利の存在を承認した場合には、更新の効果だけが生じる(一時的に時効の完成猶予を生じさせる必要がない)こととされているなど、多岐にわたる中断事由の中には時効の完成猶予の効果と更新の効果のいずれか一方が生ずるにとどまるものもあり、その効果の発生時期も必ずしも明確ではないという問題点もありました。

そこで、法律の効果をイメージしやすい用語にすべく、時効の「中断」・「停止」という用語が、それぞれ時効の「更新」・「完成猶予」という用語に変更されたのです。

時効の更新事由・完成猶予事由については、改正民法は現行法の規定と一部異なる規定ぶりとなっていますが(改正民法147条以下)、これは現行法の下における判例法理を踏まえて規定を整理したものであり、実質的な規律は現行法と変わりません。

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