育成のための3つのポイント
人材育成は、中小企業経営者が抱える経営課題の中でも難易度最高レベルに位置するものです。
以前、「ウチにも大谷みたいな、事業企画にも営業にも活躍してくれる『二刀流』のエースが欲しい」と、知り合いの中小企業社長が冗談交じりに言っていましたが、大谷選手に見る栗山監督の二刀流育成方法には中小企業には欠かせない「多能化教育」のヒントが隠れているように思えます。
と申し上げるのも、栗山監督の「大谷二刀流」育成方針には、学ぶべき3つの特筆ポイントがあると見ているからです。
ひとつ目は、二刀流育成に関して長期的展望に立って取り組んだこと。
できるからといって、いきなり無理はさせない。段階的に難易度を上げていくやり方をとり、たとえ途中でうまくいかないと感じることがあったとしても、一度決めた育成方法は安易に変えたりやめたりしませんでした。厳しい批判にさらされようとも、とにかく愚直に続けたのです。
じつは大谷選手はデビューからしばらくは、打者として大きな成果をあげることはできませんでした。15年に投手部門のタイトルを総ナメにした際も、打者としては打率2割そこそこ本塁打5本という、至って平凡な成績だったのです。
二刀流に批判的な評論家たちは、ここぞとばかりに「二刀流はやめて投手に専念させろ」と騒ぎ立てました。しかし、栗山監督はそれにまったく動じることなく、当初の育成方法を貫きました。