商工中金は何者か!? 「縦割り行政」が延命してきた制御不能の「暴走金融」(鷲尾香一)

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ちっとも「危機対応」じゃない! 通常の融資商品

   これは、まさしく「ノルマ」であり、果たして、政府系金融機関が実績づくりのために、営業職員に「ノルマ」を科すことが本当に必要なことなのか――。

   あるメガバンクの行員は、「商工中金とは、何度も競合した。融資の金利水準では、勝てないので、コンサルタントなどの総合力で売り込みを図るのだが、結局、金利競争で負けてしまい、悔しい思いをした」という。

   ましてや、この融資は国民の税金をベースとした危機対応融資という特別な融資で行われ、それも財務資料の改ざんといった不正が行われていた可能性があるわけだ。

   商工中金にとって、危機対応融資は危機対応のための融資ではなく、通常時の融資における主力商品となっていたということではないか。

   危機対応融資と銘打つことで、融資金利を低利で実行できるという利点を使い、融資を獲得することが目的であったとすれば、それは、「本来は民業の補完であるべき政府系金融機関という官業による民業圧迫以外の何物でもない」と言えよう。

   9月13日、全国地方銀行協会の佐久間英利会長(千葉銀行頭取)は記者会見で、「まさしく民業圧迫だ」と商工中金を批判した。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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