レギュラーガソリンが7週連続で値上がりしている。資源エネルギー庁によると、レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均価格は、前週比0.2円上昇して135.8円だった(2017年10月30日時点)。その背景には、原油相場の上昇がある。
そんなことから、現在200株を保有している、石油・天然ガスのプラントを手がけるエンジニアリング最大手の日揮が、改めて気になった。というのも、17年3月期(連結)の最終損益は230億円の赤字と、従来予想より赤字幅が60億円も膨らみ、1998年3月期以来19年ぶりの最終赤字という記事を思い出したからだ。
17年3月期決算の赤字、中東の石油精製プラント建設遅れが原因
覚えているだろうか――。2013年1月、アルジェリアのイナメナス付近の天然ガス精製プラントで起きたイスラム武装勢力による人質事件は、日本人10人を含む多数の死者を出す、最悪の結末だった。このとき殺害されたのが日揮の社員だ。今でも毎年1月16日になると、横浜市の本社には半旗が掲げられている。
「日揮」という会社が、どんな会社でなにをしているのか、ふだん一般の人が知る機会は少ないかもしれないが、この時ばかりは日本中が注目したはずだ。
日揮は、プラント設計、資材調達、建設まで一括で請け負うEPC(設計・調達・建設)事業が主力。製油所や天然ガスの処理施設、石油化学プラントなどを手がけ、なかでも天然ガスを超冷却処理して液化天然ガス(LNG)にするプラントでは、世界4強の一角を成す。中東や東南アジア、北アフリカなどの海外案件の受注高が大半を占める、グローバル企業だ。
その株価は、2016年6月24日の安値1343円を底に、戻り基調とみている。2017年3月13日には2183円の年初来高値を付けている。3月末時点は1935円だった。
そうしたなか、2017年5月2日に日揮株は一時、前日比157円(8%)安の1787円まで急落した。2月9日以来、約3か月ぶりの年初来安値。この日は日揮の17年3月期連結決算の発表日で、最終損益が230億円の赤字(前期は427億円の黒字)と、従来予想より赤字幅が60億円拡大した。最終赤字は1998年3月期以来19年ぶりで、過去最大の赤字を嫌気した売りが膨らんだためだ。
発表によると、赤字の主因は、中東で石油精製プラントの建設工事の納期が遅れたこと。工事労働者の入国に必要なビザ取得が現地の制度変更で想定より時間がかかり、人件費や「建設機械使用料など工事費用が増えた」(5月3日付の日本経済新聞)という。