その31 特定保健用食品(トクホ) 「こんなものいらない!?」(岩城元)

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   スーパーマーケットに行き、お茶の並んだ棚を眺めていた。すると、ボトルの包装に「消費者庁許可 特定保健用食品」という表示があって、値段も割高なものが何種類も目についた。

   略して「トクホ」と呼ばれる飲料である。

  • スーパーマーケットのトクホのお茶の売り場。トクホは飲料が売れ筋であるようだ。
    スーパーマーケットのトクホのお茶の売り場。トクホは飲料が売れ筋であるようだ。
  • スーパーマーケットのトクホのお茶の売り場。トクホは飲料が売れ筋であるようだ。

健康にいいけど、「トクホ」だけでは食事が偏る?

   それら「トクホ」飲料の包装には、さらに「体脂肪を減らすのを助ける」「血中コレステロールを減らす」「糖の吸収をおだやかにする」「血圧が高めの方に」などと、それぞれのお茶を推薦する理由が書いてある。

   これらの宣伝文句はメーカーが勝手に作ったのではなく、そうした「保健機能」があることを消費者庁が認めているのだ。トクホ制度は今年(2017年)で創設26年になり、国民の健康増進がうたい文句である。

   対象は何もお茶に限らない。乳酸菌飲料、コーラ、ヨーグルト、サイダーからスープ、みそ、ごはん、パン、豆腐、ソ-セージなどがあり、「A社の〇〇茶」「B社の△△麦茶」というふうに数えていくと、品目数は1000を超える。

   トクホのチューインガムもあり、包装には「歯を丈夫で健康に保ちます」とある。

   でも、健康にいいというので、トクホだけを集中的に飲んだり食べたりしていたら、体がますます丈夫になるのだろうか。いや、食生活が偏ってしまう結果、逆に体調を悪化させることもあるみたいだ。

   そのせいだろう、トクホの包装には必ず「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」という注意書きがある。どのトクホも句読点に至るまで、まったく同じ表現だ。消費者庁の指示によるものだろう。

   しかし、バランスの取れた食事は、何もトクホの包装に教えてもらうまでもなく、食生活の基本である。そんな分かりきったことまで表示しないと、トクホを安心して売れないというのは、どこかおかしくはないだろうか。

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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