Uberでカンボジアの街が一変した
この配車アプリも、最初はひどいもんでした。地図上にポイントして呼んでいるのに、数分後には「お前はどこにいる?」と電話がかかってきます。どうやら地図が読めないようなのです。
通りの名前とか、近くにあるランドマークとかで説明するのですが、たどり着けず、何度も電話がかかってきて、その度に説明して、3回目くらいであきらめて先方からキャンセルしてくる。そんなことが頻繁にあったため、しばらく使っていませんでした。
それが2017年夏に使ってみると、電話がかかってくることは皆無。90%くらいの確率でスムーズに目的地までたどり着ける、という状況になっていたわけです。
開発途上国に必要なのは、教育とテクノロジー。あと資本であるということが非常によくわかります。テクノロジーは、人々ができることを圧倒的に増やします。そして、そのテクノロジーを使うためにはちょっとの学習が必要になります。もちろん、ローテクの時代よりも必要な学習量は少なくて済みます。
そして、そのテクノロジーを導入して、教育を行うために必要なのが資本です。Uberをはじめとする海外資本、それがもたらしたテクノロジーと、彼らが行ったであろうカンボジア人ドライバーへの教育が、一気にカンボジアの街を変えたのです。
半面、この波に乗れなかったトゥクトゥクのドライバーは失業します。残酷ですが、こうした格差は増大していくわけです。
日本では、Uberは割高のハイヤーしか呼べませんし、Uberのようなタクシーアプリは迎車料金を徴収されます。他の国でも、Uberへのタクシー業界からの反発はものすごく強いものがあります。
ものすごく便利になったカンボジアを走りながら、今まで以上に暇そうにしているトゥクトゥクのドライバーを見ていると、前に進むことの素晴らしさと残酷さを感じます。
それでも、我々は前に進んで行かなくてはならないんですが......(森山たつを)