ガリバー企業の「不祥事」によって、取引先から悲痛な声があがっている。日産自動車が、無資格者による不適切な検査を行い国内向けの全車両の出荷を停止している問題で、信用調査会社の東京商工リサーチは国内の取引状況を、2017年10月23日に発表した。
調査によると、日産自動車グループの一次仕入れ先は2239社、2次は7223社、一次販売先は1258社、2次は2288社で、あわせて1万3008社(重複含む)にのぼった。
中小企業多く、生産計画の見直しに慄く
取引先を業種別でみると、仕入れ先は「自動車部分品、付属品製造業」が最も多く、「その他の産業機械器具卸売業」が続いた。販売先では、「自動車(新車)小売業」「自動車一般整備業」の順で多い。
資本金別では、1億円未満の中小企業が大半で、一次仕入先では77.5%、一次販売先では88.3%が中小企業だった。
東京商工リサーチは、日産自動車の下請け企業の声も紹介しており、神奈川県内に本社を置く部品メーカーは、
「出荷停止に伴う一時的な対応には耐えられるが、今後、販売台数に影響が出て生産計画などの見直しに繋がることが一番怖い」
と不安を漏らした。
一方、ある資材販売業者は、
「無資格の従業員が検査に関わっていたことは問題だが、品質自体に問題はない。この点が周知されると新車販売への影響も最小限にとどまるだろう」
と冷静な見方を示している。
日産が「ブランド」を守るためには、消費者や取引先への誠意ある対応が求められる。