「アパートバブル」に一服感が漂っている。国土交通省によると、貸家の新設着工戸数は2016年2月以降、16か月連続で前年同月を上回っていたが、17年6月に減少。8月までの3か月連続で前年同月の実績を下回った。
その一方で、全国銀行協会が2017年10月19日に公表した、加盟する116行のアパートローンの残高は、7月末時点の合計で、前月末からほぼ横ばいの22兆5741億円。地方銀行は前月と比べて増えたが、都市銀行や第二地方銀行は減らした。
金融庁の監視強化に効果
全銀協の調査によると、銀行のアパートローン残高は2017年7月末時点の合計で22兆5728億円。このうち、地銀64行では前月比0.4%増の11兆2813億円だった。その半面、都市銀行等は0.2%減の8兆1969億円、第二地銀41行は0.1%の3兆958億円だった。
マイナス金利の影響や相続税対策、加えて企業向け融資の伸び悩みを背景に、銀行は地銀を中心にアパートローンを積極的に推進してきた。それもあり、貸家(アパート)の新設着工は2年近く高い伸びが続き、「アパートバブル」の様相を呈していた。
その半面、最近はアパートの空室が目立ちはじめたことで、銀行の行き過ぎた融資が指摘され、金融庁が監視を強化しはじめたところ。その効果が表れているようだ。
国土交通省が9月29日に発表した8月の貸家の新設着工戸数は、前年同月と比べて4.9%減の3万4968戸となった。内訳をみると、民間資金による貸家は 3万2455戸(3.6%減、3か月連続の減少)、公的資金による貸家が2513戸(19.0%減)。首都圏では埼玉を除く1都2県で前年同月の実績を下回った。