東京・銀座の数寄屋橋交差点の近くを歩いていると、たばこの煙のニオイがかすかに漂ってきた。
このあたりの公共の場所では、喫煙所でしかたばこを吸えないはずである。周りを見渡しても、喫煙所はないし、たばこを吸っている人もいない。探ってみると、たばこの煙は道路脇にある小さな公園の奥から流れてきている。
小学校近くの公園でも漂う、たばこの煙
煙のニオイを追って歩いていくと、公園の端に木立があり、10人ほどの男女がそこでたばこを吸っていた。大きな吸殻入れも置いてある。ここが役所の設けた喫煙所なのである。
だが、この喫煙所には煙の拡散を防ぐ覆いのようなものがない。煙は木立を縫って、おおっぴらに周りに広がっていく。人通りは多くないのだが、通行人は否応なしに他人のたばこの煙を吸わされ、受動喫煙の被害者となる。
しかも、喫煙所と接するようにして、小学校の校舎がある。子供たちは窓も開けられないだろう。ちなみに、ここは明治11(1878)年設立の東京都中央区立泰明小学校で、特徴のある校舎が銀座名物のひとつでもある。
喫煙による煙にはさまざまな有害物質が含まれているが、喫煙者が肺に直接吸い込む「主流煙」よりも、たばこの先から立ち上る「副流煙」のほうがより危険だと言われている。受動喫煙とはこの副流煙と、喫煙者が吐き出す「呼出煙(こしゅつえん)」の混ざったものを周りにいる人が吸わされることである。